他責型の事例としてよく取り上げられるのが、BP(石油会社のブリティッシュ・ペトロリアム。日経BPではありません)の元CEO トニー・ヘイワード氏だ。

 BP社といえば、2010年4月にメキシコ湾沖合80km、水深1522mの海上で海底油田の掘削作業中に、大量の原油をメキシコ湾へ流出させるという大規模な事故を起こした企業で、このときの事故で11人の作業員が死亡。全米を震撼させた大惨事だった。

 当時CEOだったヘイワード氏は、事故直後に「一体、どうして我々がこんな目に合うんだ」と報道陣の前で嘆きフルボッコにあった。それでも一向に態度が改まることはなく、徹底的に責任を否認。

 事故2週間後には、

 「メキシコ湾は広大だ。海全体の水の量に比べれば、流出した石油と分散剤の量など微々たるものだ」

 と発言し、科学者たちが「部分的に溶解した原油が、海中を浮遊する様子」を捉え、責任を追求するも、

「汚染物質などない。科学者はおかしい」

 と反論したのだ。

高揚感をもたらす“チーターズ・ハイ”

 一方、無責型には、ヒューレット・パッカードの社 史上最悪のCEOと揶揄されたカーリー・フィオリーナ氏があげられることが多い。 “ガラスの天井”をぶち破ってきた自他共に認めるエリートは、会社が倒産する数日前「自社のバランスシートは健全」と公言。結局、経営は悪化の一途をたどり辞任に追い込まれたものの、過剰な人員削減や安易な戦略を行っていたことから「企業を衰退させる経営の典型例」と、いまだに批判されている。

 その他にも、倒産後も責任を否定した老舗投資銀行のベアー・スターンズ のCEOアラン・シュワルツ氏、リーマンショックのときに似たり寄ったりの言い方で責任を否定し、嘘をついた金融機関のCEOたちも、嘘つきで傲慢な「無責型」と分類されている。

 こういった事例からおわかりのとおり、無責任な人たちは度々嘘をつく。

 嘘をつくという行為は、“チーターズ・ハイ”と呼ばれる高揚感をもたらすため、ついている本人に罪悪感はない。

 「嘘をつき責任を回避すると、イヤな気持ちになる」と考えがちだが、嘘を貫き通すことができると、それが快感になり、自分の中で噓が誠に変化してしまうのである。

 そもそも人は他人の嘘には厳しい一方で、自分の嘘に寛容な傾向が強い。「この嘘は必要」だと考え、自らを正当化する。その確信が強ければ強いほど、嘘を重ねてチーターズ・ハイに陥っていく。