昇進と責任感の関連は

 そもそも人は権力を持つと、自信過剰になりがちで、他人の意見を聞く耳をもたなくなるものだが、これだけ“責任回避と押し付けの応酬劇場”が続くと、最初は嫌悪感を覚えた菅官房長官が“まとも”に見えたりするので困ったものである。

 いったいナニがウソで、ナニがホントなのか。

 というわけで、今回はリーダーたちの「無責任とウソ」に関するいくつもの論文やエッセイの中から、興味深いものを読み解き、アレコレ考えてみようと思う。

 まずは、日本の大企業における「昇進と責任」を言及した論文から。

 以前、少しだけ紹介したことがあるが、「わが国大企業の中間管理職とその昇進」と題されたこの論文は、1984年に寄稿されたもので、日本電気、日立製作所、東芝、三井物産、三菱商事、日商岩井(現・双日)などの40歳代の社員、計1470人を対象にしている。

 調査ではさまざまな変数を用い、昇進との関連を検討。この論文の面白さは「中間管理職の考え方・行動に関する質問項目」を用いている点だ。

 具体的には、

 「積極性」「やる気」「競争心」「自己研鑽」「闘争心」「昇進意欲」「社交性」「運についての自信」「能力についての自信」「体力」「交渉力」「部下のモチベーション」「適応力」「指導力」「部下の能力開発」「楽観主義」「協調性」「明るさ」「決断力」「几帳面」「計画力」「企画力」「批判精神」「柔軟な考え」「論理性」「忠誠心」「ゴマスリ」「ワークホリック」「頼りになる先輩」「上司に密着」「責任感」「忍耐力」「品位」「公平さ」「思いやり」

 の計35項目の質問を作成し、SD法で判定している(6段階)。

 ちょっとばかり専門的な説明をしておくと、SD法とは、Semantic Differential methodの略で、心理学測定法のひとつだ。

 例えば、「明るいー暗い」「楽しいー悲しい」などの対立する言葉や文章を用いて、どちらに近いかを回答者に5~7段階で示された図に○をつけてもらい、得点化する。1980年代まで、心理学や社会学調査で頻繁に使われた手法である。

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 で、先の調査では……、

 などなど、設問の文言自体に、当時の「ビジネスマンの考え方」が反映されている。