そもそも政府は意識改革“だけ”しか考えてなかったのか? というとそうとも言い切れない“足跡”を発見。

 内閣府のHPで「男性家事」でヒットしたもう一つの資料は、「なんだよ!! ちゃんと内閣府もやってるんじゃん!」というものでして。

 国内外の文献を男性の家事育児参加や、家事・育児と仕事のストレス(男女)、夫の家事参加と夫婦満足度・妻のストレスに関する文献をレビュー。30件超の国内外の短報や原著論文の、「研究の概要・対象と方法・結果・インプリケーション」が、一覧にしてまとめられていたのである。

 せっかくなのでいくつかの論文で示されている内容を紹介する(男性の家事・育児参加に関するもののみ)。
 ※以下、結果のみ。詳細に興味ある方はこちら

  • 夫の家事参加には意識変革を目指す啓蒙活動より、職場環境を改善することによる「時間的余裕」が必要である。
  • 配偶者の労働時間が長くなると、本人の労働時間も長くなる。
  • 夫の家事時間は、妻の労働時間が自分より長いときに増える。
  • 夫と妻の家事時間は、一方が増えれば他方が減るといったトレードオフは認められない。家事は妻が主導的に行い、それを夫がサポートするという姿が浮き彫りになった。
  • 夫の育児参加は、妻の夫婦満足度を高める効果あり。一方、夫の家事参加は、妻の夫婦満足度に影響なし。
  • 妻の夫婦満足度には、「夫への心の支え信頼度」「夫への経済的信頼度」が関連するものの、「心の支え信頼度」の影響力は、経済的信頼度の3倍もある。
  • 夫の家事参加と夫の情緒的サポートでは、妻の夫婦満足度には情緒的サポートが影響。

監獄の中の人に、外に出るといいことがあると言うようなモノ

 つまり、仮に妻の心理的負担を和らげるのが目的であれば、「おかあ飯に感謝しよう!」とか「会社を出かける時に“何か買ってくるものありませんか?”と聞いてみよう」キャンペーンにすべき。だが、「男性の家事参加時間を増やし、“2時間30分”という数値目標に近づけること」が目的なら、「労働時間の削減」は避けて通ることのできない課題であり、意識改革やらなんやらは二の次でしかない。

 内閣府の皆様は、「そもそも何をしたいのか」をすっかり忘れているんじゃありませんか。

 この文献がどういった文脈でレビューされたのか、この資料からはわからなかった。でも、事実として存在している以上、役人か研究者ら誰かがやったものであり、その資源を生かさずしてどうする。これを作った人たちは泣いているぞ。

 だいだい下手でもなんでもいいから作ると~良いことあるよ~という“おとう飯”キャンペーンは、監獄の中にいる人に「外に出てごらんよ~~。気持ちいいよ~~」とか、給料10万の人に「海外旅行にいくと人生が豊かになるよ~」とか言ってるのと同じだ。

 いったい何のための数値目標なのか。国内外の調査で一貫して、労働時間は「男性の家事時間」を規定する要因になっているのだから、どんなに難しくても、労力がかかろうとも、どんなに反発を受けようとも、企業を巻き込まなきゃダメ。政府に本気で労働時間を減らす意志がなく、パパクオーター制を取り入れる気もないのだから、攻めるべき相手は企業しかない。