……。「友人の友人の友人」か。
孤独感が伝染しやすいことは理解できるが、「友人の友人の友人」まで影響力があるとは、失礼ながら失笑してしまった(すみません)。少々、言い過ぎではないか、と。
実際「友人の友人の友人への伝染」には異論も多く、「そもそも似た者同士が友人になっているだけで伝染しているわけではない」とする意見や、「孤独感を招きやすい環境が影響しているだけ」との見解もある。
一方、孤独感を抱く→関係を遮断する、という方程式は、個人的には至極納得した。
孤独感を抱いてるときって、なんとなく人が集まる会合などに行きづらいというか、行きたくないっていうか。行ったら行ったで、ますます孤独感が募ることだってある。
孤独感というより、疎外感といった方がいいかもしれない。
いずれにせよ「孤独は伝染する」ことを追跡研究で具体的な数字にまで落とし込んだこの論文は、世界中の研究者の関心を集め、孤独研究は隆盛を極めることになる。
- 孤独を感じる人は死亡リスクが26%高い
- 孤独感は抑うつにつながり、自殺願望を増加させる
- 孤独感は血圧の上昇、ストレスホルモンの増加、免疫力の低下をもたらす
- 孤独感はアルツハイマー病や睡眠障害につながる
- 乳がん生存者のうち、孤独感の高い人はそうでない人に比べ再発率リスクが高い
- 孤独感は一日15本のタバコを吸うのと同等の健康被害をもたらす
etc……といった健康問題との関連は複数報じられ、さらには、孤独を感じている社員は、
- 創造性が低い
- 仕事満足度が低い
- パフォーマンスが低い
- 論理的思考能力の低下
- 他者への攻撃性の増加
といった報告が相次ぎ、職場の孤独問題の解決策を模索する試みも進んでいる。
人間関係の希薄化が大きな要因
なぜ、孤独が増えてしまったのか?
人間関係の希薄化が大きな要因であることは間違いない。
職場ではみなパソコンを見つめ、キーボードの音だけが鳴り響く。仕事も膨大なので無駄話をする時間もない。毎日同僚たちと顔を合わせているのに、互いに何を考え、何を悩んでいるのかを語り合う余裕もない。
それ以上に孤独感を助長するのが、皮肉にもSNSなどの発達である。
そもそも人は類人猿の時代から身体活動を通じて集団を作り生き延びてきた。人が信頼をつなぎ、安心を得るには“共に過ごすこと”が必要不可欠。ところがSNS(交流サイト)の発達で共に過ごさなくてもつながることができるようになった。
加えて、私たちは孤独を感じているときに、他人のちょっとだけ幸せそうなリアルを垣間みると、ネガティブな感情が高まる。家族と笑顔で映っている写真、同僚たちと楽しそうに飲んでいる写真、SNS上での楽しそうなコメントのやりとり……。いわゆる“リア充”に嫉妬する。
孤独感はポジティブな感情の「情動伝染」を低下させるという、実にやっかいな側面も持ち合わせているのだ。
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