「せがれが過重労働とパワハラで、体調を壊してしまいましてね。……真面目にやってきたのに、かわいそうで。『人の命は何よりも重い』と教育されてきたけど、医者の命だけは軽いのかもしれません」

 この男性の息子は、某病院の勤務医の34歳。昨年、電車の中で意識を失い、病院に搬送。そこでギリギリつながっていた“糸”が切れた。

 病院を辞め、現在、自宅で療養しているのだそうだ。

 大学病院などの医師を取り巻く環境に激しい“雨”が降っていることはわかっていたけど、実際に雨にびしょ濡れになった方の話を聞くのは初めて。改めて、事態の深刻さを痛感した。

 つい先日も、長崎市の長崎みなとメディカルセンター市民病院に勤務していた男性医師(当時33歳)が2014年に死亡したのは過重労働が原因として、妻ら遺族3人が病院に約3億7000万円の損害賠償を求め提訴した。

 男性は14年4月に同病院に採用され、心臓血管内科医師として勤務。毎月100時間を超える時間外勤務が続き、同12月に自宅で心肺停止の状態で見つかった。死因は著しい疲労の蓄積による、内因性の心臓死だった。

 半年以上、ずっと100時間超って。ひどすぎる。つい先日、「過労死ライン」と呼ばれる月80時間を超えて残業をした従業員がいる企業が2割以上あることを書いたばかりだが(長時間残業放置の俺サマ社長は殺人未遂で問え!)、病院も例外ではない。欧米と比較しても医師の勤務時間は突出して長く、尋常ではないと批判されているのだ。

 ところが、医師の過労死や長時間労働の報道熱は低く、医療ミスとは対照的。件のニュースの扱いも、大きくなかった。

 ひょっとして、「医者はカネをたくさん稼いでるんだから。低賃金で酷使されてるブラック企業の末端労働者とは、ちょっと違うでしょ」的なまなざしが、どこかにあるのでは? などと思ったりもする。

 そこで今回は、「酷使される勤務医の実態」を取り上げ、アレコレ考えてみようと思います。