ジョブ型かメンバーシップ型かの違い

楠木:そうかもしれませんね。組織の外から見れば、「何でそんなに気にするんだろう?」って不思議でしょう。私もサラリーマンとフリーランスの二足のわらじをはき始めてから、社内の役職や役割にこだわりすぎていた自分に気が付きました。

 話はちょっと変わりますが、希望していない部署や子会社への出向など意に沿わない異動をひっくるめて左遷という言葉を使うのは、おそらく日本だけじゃないでしょうか。

河合:その背景には、雇用形態がジョブ型かメンバーシップ型かの違いがありそうですね。

楠木:不本意な人事異動を受け入れざるを得ないから左遷という言葉を使うわけです。その前提には会社という同質的なメンバーの共同体が存在している。一方、欧米の企業の場合、給与などの労働条件と仕事の内容がセットで個々社員と契約しているので、本人の同意を得ない辞令は出しにくい。労働条件が変わってしまうからです。

河合:リーダーが部下を連れて出て行くなんてことも、外資系では珍しくないですよね。左遷って、日本のサラリーマンのジレンマを、ものすごく的確に表現している言葉なのかもしれませんね。

楠木:全くその通りです。日本で転職市場が未成熟なのは、雇用形態の違いが大きいと思います。