1999年6月に公布・施行された「男女共同参画社会基本法」では、男女共同参画社会をこう定義している。

 「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」

 女性だけじゃない。男女。男女が均等、かつ共に責任を持つ社会だ。

ナショナル・マシーナリーの役割とは

 各国の「女性省」もすべて「ナショナル・マシーナリー」としての「女性省」である。ナショナル・マシーナリーは、ジェンダー平等に関する直接の政策立案・調整機関。形態は女性省や女性課題省などの省庁のほか、行政機関や議会内の委員会、オンブズマン、大統領付きのアドバイザーなど国によって異なるが、取り組むのはむしろ「男性問題」がメインだ。

 女性が仕事と家庭の両立をするために、男性の育児休暇の取得を増やす。単なる数字目標を設定するだけではなく、実効性をもたせるために義務化する。「ケア労働」に価値を置き、長時間労働をなくす(こちらに詳細に書いてあるのでお読みください。男だ女はもう「114」。埋まらぬ日本の格差問題)。

 「もう1人産もう」と思えるように、子育てや教育予算を徹底して増やす。

 「女性向けの仕事」とされてきた仕事の賃金を上げて、男性が「生涯の仕事」と思えるようにする。

 etc……。

 男性と女性という性で何がしかの「差別」がないかどうかの「ファクト」を確実に捉えた上で、「女性省」に「権限」を与え、社会を変える。ナショナル・マシーナリーとはそのための機関だ。日本のように“ショールーム”的発想で設置されているワケじゃない……。あたり前だけど。

 例えば、

 ・カナダには内閣の中に女性の地位担当大臣と、閣議に出席して発言する権限を有する専任の女性の地位副大臣がいる。その下に女性の地位庁(Status of Women Canada)が設置されている(1976年~)。

 ・フィリピンでは、「フィリピン女性の役割国内委員会」が設置され(1975年~)、徹底的にジェンダー問題に関するモニタリングと、政策分析、調査研究を行っている。

 ・韓国には、政務長官室というのがあり、これは官房長官が2人いて、その2人目が女性問題担当の専任大臣という位置づけである(1988年~)。

 これはごく一部だが、世界中の国々が1970年代後半にナショナル・マシーナリーを設置し女性問題に取り組み、1990年代に入ってからは男・女の二分法から脱却し、ジェンダー平等という立場に徹している。

 日本と逆。2000年初頭は「男女平等」という言葉を多用し、その後一瞬「ジェンダー平等」が使われたけど、気がつけば「女性」。女性、女性、女性。困ったことが起きる度に「女性」が持ち上げられる。

 そして、

 「女性」連呼→女vs男にうんざり→拒絶→解決すべき問題は置き去りにされる→女性の権利主張→「女性」連呼……

 という完全なる悪循環が繰り返され、ますます女性問題の解決は遠のいていくのである。

 日本が「女性活躍」を掲げた組織の起源は、1975年まで遡ることができる。

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