戦後から何が変わったのか

 ……ん? いったい戦後から“ナニ”が成長したんだ?
 お父さんたちの職場は、発展途上国となんらかわらないじゃないか。

 さらに今後は、正社員との賃金格差の大きい40歳以上の非正規社員が増える。
 日本のこの異常な「男性問題」は、何に起因しているのか。
 なぜ、経済大国の“はず”なのに、「中高年の自殺率」は発展途上国並みに多いのか?
 なぜ、紛争に巻き込まれているわけじゃないのに、強制的に戦闘参加を強いられている国並の「幸福感」しか、男性たちは感じることができないのか?

 その謎を紐解くには、もっともっと中高年の男性にスポットをあてるしかない。

 え? 「価値観の違う若い世代が増えれば、職場も変わるだろう」って?
 いやいや、その期待される若者たちでさえ絶望し、死に至っているではないか。

平成28年における自殺未遂歴の有無別自殺者数の割合
平成28年における自殺未遂歴の有無別自殺者数の割合
「第1-35図 平成28年における自殺未遂歴の有無別自殺者数の割合」
[画像のクリックで拡大表示]

展望のなさをどう救う?

 ただでさえ男性の自殺予防は難しい。
 悩みがあっても他人に相談をするのをためらう傾向は男性の方が高く、ご覧の通り自殺予防の介入が可能な自殺未遂も少ない。

 職場のストレッサー(ストレスの原因となるもの)とそのストレス度(どれくらいストレスを感じか)の大規模な調査では(筆者らによる)、もっともストレス度が高かったのは「将来への展望のなさ」。

 仕事の要求度や切迫度、長時間労働などのストレス度も「将来の展望がない」ほど強く、精神健康も悪かったのである。

 私たちの足下には、俎上にあがらない問題が溢れている。社会問題はプライオリティをつけるのが難しい上に、歴史的、文化的背景も影響する。ただ、今日本でおきている多くの問題は、将来への展望のなさ、に起因している部分が多い。「この問題をどう解決すればいいのか?」。こう考え続けることもまた、小さな解決につながると信じている。

悩める40代~50代のためのメルマガ「デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』」(毎週水曜日配信・月額500円初月無料!)を創刊しました!どんな質問でも絶対に回答するQ&A、健康社会学のSOC概念など、知と恥の情報満載です。

この記事はシリーズ「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。