実はこの結果を用いたコラムを当時、私は書いているのだが(「“セクハラやじ”と『5人に1人が結婚できない』ニッポン社会の未熟度」)、2014年は日本で歴史的な出来事があった年(ちょっと大袈裟ですが……)。

 なんと2000年に内閣府が「2014年版男女共同参画白書」を発行して以来、初めて男性特集が組まれ、以下のような「男性問題」がわかったのである。

 ※以下、コラムから抜粋。

お父さんの悲哀に冷たい世間

  • 共働き世帯は年々増加傾向にある一方で、男性の長時間労働は改善されていない。
  • 非正規の男性の未婚率は、30~34歳が84.5%、35~39歳が70.5%、40~44歳では57.6%
  • 週60時間以上就業している者の割合は、就業形態を問わず女性より男性の方が多い。
  • 平均所得は女性で増加傾向、男性では正規・非正規など雇用形態や学歴を問わず減少。
  • 「現在、幸せである」とする女性の割合が、男性の割合を上回った。
  • 「現在、幸せである」とした割合を、世帯収入別に見ると、男性は300~450万円未満がピークであるのに対し、女性は世帯収入が高くなるほど幸福度が高い。
  • 妻が「自営業主・家族従業者」の場合に夫の幸福度が最も高く、妻が「主婦」の場合に、夫の幸福度は低い。

 などなど。お父さんたちが300円で牛丼を食べているときに、銀座の高級レストランで優雅にランチする奥さま方をみて、「男はつらいぜ!」と誰もがなんとなく感じていた状態を数値化。「男性は300~450万円未満がピークであるのに対し、女性は世帯収入が高くなるほど幸福度が高い」という結果も、なんとなくわかる(詳しくは書きません。理由は聞かないでください…)。

 で、おそらくこれらをまとめた役人の方たちも、お父さんたちの「悲哀」を世間に訴えたくて、「男性特集」を組んだはずなのだ。

 ところが、メディアの反応は薄かった。「男性特集」の内容を報じた大手メディアは、当時私が調べた限り毎日新聞と日本経済新聞だけだったし、テレビも取り上げた番組は見当たらなかったのである。

 このときは私はこの問題を論じるにあたり、「正社員と非正規の格差問題」と、「過去の“男性の役割”を求め続けられる男性の息苦しさ」に言及したのだが、今、改めて考えを巡らせると、もっともっとさまざまな要因が複雑にからみあっていて、事態は改善するどころが深刻になっているようにさえ感じている。

  • 「戦後やむにやまれぬ事情」で企業ファーストで制定された労働基準法をそのまま使い(参照「有休取得妨げる『アリバイ労働』と『戦後特例』」)
  • 「残業上限100時間未満」などと過労死を合法化させ、
  • フルタイム労働者の年労働時間は1990年以降まったく変わっていないばかりか、
  • 1976年には17%だった平日10時間以上労働の割合は2006年には42.7%まで増加し
  • 管理職の割合は8.2%から、3.2%と半分未満に減少し(1980年と2005年の比較)

 おまけに……、正社員の賃金はこの20年間、ほとんど変わっていない。

次ページ 戦後から何が変わったのか