SOCはただ単にストレスや困難に対処する力ではなく、困難や危機を成長につなげる力だ。

 20歳の青年は、今はとんでもなくしんどいかもしれない。贖罪の気持ちに押しつぶされそうになることもあるかもしれない。だが、きっと乗りこえられる。周りの力を借りながら、踏ん張り、感謝し、再び踏ん張れば、やさしくて強い人、真のしなやかなSOCを獲得できると確信している。

 今回の事件で、ひとつ残念なのは、記者会見で「信頼していた」という井上コーチが、最後まで権力に屈してしまったことだ。なんというか……、中間管理職のジレンマというか。「自分が未熟だった」という言葉を繰り返していたけど、“日大アメフト部のコーチ”という社会的地位が彼の目を曇らせてしまったのだろう。

13項目の質問によって測定できる

 最後にSOCについて、補足しておく。
 SOCは、イスラエルの健康社会学者であるアーロン・アントノフスキー博士が提唱した概念で、信頼性と妥当性が確認され、世界各地で使われている13項目の質問によって、個人のSOCを測定することができる。私は恩師である山崎喜比古先生の下で、長年にわたりSOCに関する研究を積み重ねてきた。

 SOCの高い人は、さまざまな健康に関する要因を予測する力が高い。
 例えば、SOCの高い人ほど、ストレスにうまく対処し、健康を保つことができる。抑うつや不安、頭痛・腹痛などのストレス関連症状だけでなく、欠勤なども予測する。SOCの高い人ほど、仕事上の疲労感が少なく、バーンアウトを起こしにくく、職務満足感が高いことも確認されている。
 欧米で行われた10年間の追跡調査では、SOCの高い人は低い人に比べて10年後の精神健康が良好であることも確認されている。SOCが寿命を予測するとの研究結果もある。

 ーSOCの高い職場の作り方満載!ー

 本書は、科学的エビデンスのある研究結果を元に、
「セクハラがなくならないわけ」
「残業が減らないわけ」
「無責任な上司が出世するわけ」
といった誰もが感じている意味不明の“ヤバい真実”を解き明かした一冊です。

(内容)
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