SOCは、困難やストレスが生じて初めて機能する力で、ストレッサー(ストレスの原因)の多い環境ほど、SOCの高低による影響が現れやすい。言い換えれば、SOCはストレッサーが生じて初めて機能する能力であり、「ストレスに対処するための能力」でもある。

SOCの高い人も「鉄人」ではない

 SOCの高い人は、大きな危機に遭遇したとき、それを脅威ではなく「自分に対する挑戦だ」と考えることができる。自分の人生にとって意味ある危機であればあるほど、「これは挑戦だから、どうにかして対峙してやる」と踏ん張り、対処するのだ。

 とはいえ、SOCが高い=「鉄人」ではない。
 SOCの高い人でも間違いは犯すし、後悔もする。
 それでも絶望の淵から抜け出すための最善の策を探り、覚悟を決め前を向く。ときに傷つき、ときに悩み、自分を見失いながらも、自分を俯瞰する力を取り戻し,自分を信じる力を武器に、困難を乗りこえる度にひと回りもふた回りもたくましくなるしなやかさを、SOCの高い人は持っているのである。

 20歳の青年のSOCは高かった。それを裏付けたのが先の会見であり、彼の贖罪の気持ちが、彼の成長の糧になると確信している。

監督やコーチから理不尽な指示があってこういう形になった後に、たとえば同僚とか先輩とか周りの人たちから「いや、お前は悪くないんじゃないか。監督、コーチの責任じゃないか」という声は挙がらなかったんでしょうか?

宮川泰介選手:挙がっていたと思います。

それを聞いて、ご本人はどういうふうに感じていらっしゃいますか?

宮川:いや、まず、そもそも指示があったにしろ、やってしまったのは私なわけで……。人のせいにするわけではなく、やってしまった事実がある以上、私が反省すべき点だと思っています。

明らかな反則行為なわけですけども、直後から悔悟の念がよぎるその行動を、なぜしてしまったのか? 監督の指示がご自身のスポーツマンシップを上回ってしまった、その理由は何でしょう?

宮川:監督、コーチからの指示に、自分で判断できなかったという、自分の弱さだと思っています。

ただ、今日会見に臨んでくださるような、そんな強い意志を持たれている方が断れない状況になっているということは、これはまた繰り返されてしまう可能性もあるという意味もあって。ここで伝えておかなければならないメッセージというのもお持ちかと思うのですが、そういった点いかがでしょうか。

宮川:自分の意思に反するようなことは、フットボールにかかわらず、すべてにおいて、するべきじゃないと思います。

指導する側に求めるものもあると思いますが、いかがでしょうか?

宮川:指導する側……先ほどから言ってる通り、僕がどうこう言うことではないと思っています。