彼らには危機感の「き」の字もない。あるのはウソの上塗りのみ。
 そして、
「よく言うよ、何年か前の関学が一番汚いでしょ」といった具合に、都合のいい情報を探し出し、巧みに問題のすり替えを行なうのだ。(by 内田氏 「文春オンライン」の音声データより)。

「自分は不正をしない」という人も不正の罠にはまる

 一方、権力に屈し、不正を犯してしまう心のメカニズムは、ミルグラム実験(別名アイヒマン実験)で明かされている。

 これは50年前の心理実験だが、「権威者に従う人間の心理」を理解するための模範的な社会心理実験として、今なお評価されている(詳細はこちらに書いたので興味ある方はどうぞ)。

 どんなに「自分は不正なんかしない」と思っている人でも、極度のプレッシャーに「不安」という心理状態が重なったとき、不正の罠にはまる。
 他人からみればたいしたことじゃなかったり、後から考えるとたわいもないことでも、その渦中にいるときには、過度のプレッシャーに押しつぶされそうになり、つい境界線を越えてしまうのだ。

 だって、人間だから。
 その心情は、アメフト選手が記者会見で語ったとおりだ(以下、記者会見での質疑応答より抜粋)。

記者:もし、これを拒否していたら、どうなっていたとお考えでしょうか? やってしまってもこのようにフットボールをできなくなった可能性も高いし、やらなかったらやらなかったで、やはりまたフットボールができなくなる現状が起きていたんでしょうか? いかがでしょうか?

宮川:この週、試合前、まず練習に入れてもらえなかったっていうのもありますし……どうなっていたかははっきりはわからないです。けども……今後ずっと練習に出られない、そういう状況にはなりたくなかった、という気持ちです。

 不安の極限状態で“光”となるのが、権力者の悪魔のささやきである。

 「オマエのためを思って言ってるんだ」といった甘言に病んだ心はすがり、その言葉を妄信し、「やるしかないじゃん!」ともうひとりの自分に支配される。

 そして、「自分はちゃんと命令通りやっている」という満足感が、不正を犯すという罪悪感を上回り、「アレは仕方がなかった」と自らを正当化するのである。

……が、20歳の青年は正当化しなかった。
これがSOC。そう、SOCだ。