
「余命1年って言われたのに…、1年とっくに過ぎちゃって……。働きたいんですけど、体調に落差があるから、なかなか難しくて……。今、生活保護を申請してるんです……」
3年前、余命宣告をうけた女性は、とても静かにこう切り出した。
病名はがん。膵臓癌である。
今回は「がんと仕事」について、みなさんにも一緒に考えていただきたく、彼女の“今”を取り上げようと思う。
「がん患者は働かなきゃいい」――。
先週、問題になったこの発言について、大西英男議員は「がん患者や元がん患者の皆様のお気持ちを傷つけたことをおわび申し上げます」と謝罪し、党の東京都連の副会長を辞任。
だが、発言は撤回していない。ご存知のとおり問題発言があったのは自民党の受動喫煙対策会議の場だ。
「私は限定的に小規模飲食店の喫煙を認める考え。『働かなくていいのではないか』というのは、ごくごく少数の喫煙可能の店でのことについてだ。がん患者が働かなくてもいいという趣旨ではない」
というのが、本人の「撤回する必要ないじゃ~ん」の理由らしい。
問題点、ほんとにワカってる?
なるほど。この政治家は、受動喫煙のナニが問題なのかをち~っとも理解していないのに、「受動喫煙の議論」に参加していたってことか。
そもそも受動喫煙問題は、「喫煙者 VS 非喫煙者」の攻防でも、「吸える・吸えない」の問題でもない。
全く本人が望まざるカタチで、“煙”による健康被害を受け、最悪の場合、死亡に至ることが問題である。
“受動喫煙対策会議”に参加なさっていたわけですから、当然お読みになっているとは思いますけど、厚労省の資料には次のように記されている。(以下、HPより抜粋、出典はこちら)
・受動喫煙を受けている者のり患リスクは高く、肺がん 1.3倍 、虚血性心疾患 1.2倍、脳卒中 1.3倍、乳幼児突然死症候群(SIDS)にいたっては4.7倍 も上昇する。
・少なくとも年間1万5千人(交通事故死亡者数の約4倍)が、受動喫煙を受けなければ、がん等で死亡せずに済んだとの推計もある。
ついでに言っておくと、飲食店での喫煙を禁止しても、売り上げへ影響はほとんどない。
全面禁煙と売り上げの関係を調査した165の論文のうち、信頼性の高い49の調査で「レストラン、バー等の経営に影響なし」という結論が出ており、これらの49の調査以外でも、19の調査のうち17の調査で、減収がないことが確認されているのだ。
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