具体的には……、流動性知能のうち、記憶力や暗記力は40歳代後半から急速に低下する。しかし語彙力は、若干低下する傾向はあるもののさほどではなく、統計的にも有意じゃない。

 一方、結晶性知能は60~70歳前後まで緩やかに上昇。74歳以降緩やかに低下するが、80歳ぐらいまでは20歳代頃と同程度の能力が維持される。

 つまり、「業績の向上」につながる経験を「結晶性知能」とすれば、カラダさえ元気ならエイジレスで業績に貢献することが可能なのだ。

 さらに、脳科学の発達により「認知機能が衰え始めるのは亡くなる5年ほど前」ということもわかった。しかもその低下は決して急激ではなく、ゆるやかに低下することが確かめられている。

 このコラムでも何度も取り上げた、米マサチューセツ州にあるヴァイタニードル社は、まさしく「結晶性知能」を生かすことで企業の業績を向上させた企業だ。(「定年延長で激化する「“オッサン”vs若者」バトル」)
 経験と専門知識を持つスペシャリストも積極的に雇用することで、効率的に生産性を向上させている。

 私が記事にしたとき、99歳で最高齢だった方は100歳で辞めたのだが、理由は「転居により通勤が難しくなった」こと。裏を返せば、100歳を超えても、いちサラリーマンとして、企業に勤めることは可能。
 「そんなに働きたくないよ~」という悲鳴も聞こえてきそうだが、ヴァイタニードル社のHPに掲載されている高齢者たちの表情をみると、ちょっとばかりうらやましいというか、勇気がでるので是非ともごらんいただきたい(こちら)。

高齢者雇用で業績が下がる証拠はない

 政府の「働き方改革実行計画」には、

――高齢者の7割近くが、65 歳を超えても働きたいと願っているが、実際に働いている人は2割にとどまっている。労働力人口が減少している中で、我が国 の成長力を確保していくためにも、意欲ある高齢者がエイジレスに働くため の多様な就業機会を提供していく必要がある。

 としているけど、「意欲ある人」のための就業機会ではなく、「企業が生産性を上げる」ために、65歳を超えても能力発揮の機会を提供していく、といった雇用する側の意識改革が必要であることは、体力と知能のエビデンスから明らか。

 ただし、ただ単に「年を取れば上昇する」というものではない。

 低下しないことと、上昇することは別で、「年取ったから知能が低下する」わけでもなければ、「若いものより、年寄りのほうが知恵がある」わけじゃない(ややこしいですけど……)。

 まぁ、当たり前といっては当たり前なのが、気になるのはその個人差が高齢になるほど拡大するということだ。

 つまり、50歳を超えても「企業に貢献できる存在」になるには、「経験知」としての結晶性知能を高めておくことが大切なのだ。