また、先の下請け業者は、江戸時代から始まったといわれる「多重構造」の典型的なカタチである「外部」への委託だが、この数年で異なる“カタチ”も増えた。

 内部にいる「外部人材」。いわゆる「業務委託」だ。

 これはあくまでも個人的な感覚なのだが、マスコミや広告業界で、業務委託がここ数年で爆発的に増えたように思う。

 例えば現場で名刺交換をしたときに、「○○会社の人だけ」ということは滅多にない。

 名刺の連絡先が別会社になっていたり、名刺の社名が違ったり。「○○会社から業務委託を受けた下請け企業の社員」が、○○会社に出向き、そこであたかも「○○会社」の社員のように働いている。

 大抵の場合、下請けは数名の零細企業。「○○会社」の社員より劣悪な待遇で、発注元の社員より安い賃金で働いている。「○○会社」の社員には残業が禁止されていても、彼らは〆切を守るために遅くまで働かされる。現場で働く彼らは「週明けまでよろしくね!」と金曜の夜に言われば、「イエス」と言わざるを得ない。「ノー」という答えは用意されていないのである。

 身分格差、賃金格差は、非正規と正社員だけではなく、内部の「外部人材」にも存在するのだ。

悪質な“いじめ”の数々

 公正取引委員会は、2015年度に下請代金支払遅延等防止法違反で、4件の勧告と過去最多となる5980件の指導を行った(「2015年度の下請法の運用状況」より)。

 具体的には、食料・日用品の製造を委託している業者に対し、販売協力奨励金や追加奨励金などの勝手な名目を付けて、業者に支払う代金から差し引いたり、スポーツ用品小売業者が店頭価格を引き下げる際、その分をメーカーへの支払額から値引きするなど、きわめて悪質だった。

 2015年7月に公正取引委員会が公表した「テレビ局と番組制作会社の実態調査」でも、20.2%のテレビ番組制作会社が、「採算確保が困難な取引(買いたたき)」を受けたと報告している。

 また、イベント関係の下請け会社をやっている知人によれば、「代理店へのプレゼンは『予算プレゼン』から始まる」ケースが増えたそうだ。

 代理店は“スポンサー命”なので、内容変更の要求は日常茶飯事。結果的に、最初の予算を上回ることになるのだが、それに対する保障は一切ない。

 ふむ。これも一種の「買いたたき」でしょ?

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