これまでにも何度も「過労死」と「過労自殺」は別物であると書いた。

 過労死とはいわば、突然死のこと。長時間労働などの過重労働で引き起される脳血管疾患、若しくは心臓疾患を原因とする死。

 一方、過労自殺は、業務における強い心理的負荷を原因とする自殺による死で、重い責任、過重なノルマ、達成困難な目標設定などによるストレスによる比重が大きい。

 過労死は週50時間勤務でリスクが増大し、過労自殺は組織的モラハラ(パワハラ)が引き金となる。

 日本では「パワハラ」という言葉が一般化しているにも関わらず、それを規制する法律はない。政府お得意の「労働相談」という制度があるだけ。しかも、 そこでの相談内容は「いじめ・嫌がらせ」が6万6566件で4年連続トップだ。(ソースはこちら)。

「過労死は必然」なんて思ってはダメだ

 先週、厚生労働省が発表した「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」でも、2016年までの3年間に、「パワハラを受けた」と回答した従業員は32.5%と、前回(2012年)に比べ、7.2ポイント増加している。

 「労働者である以前に人間である」。
 この当たり前のことを、私たちは置き去りにしていないだろうか。
 「やっぱり過労死とか過労自殺って、資本主義の必然なんじゃないの」という、社会全体に漂う諦めが、組織的モラハラによる被害者を生み出していないだろうか。

 フランスでは経営者を養成する機関で、「いかなる状況でも『働く人の尊厳』を傷つけ、『屈辱的で劣悪な労働条件』をつくるモラハラを絶対に許すべきでない」という教育が行われ、学校でも子どもたちに教える取り組みが進められていると聞く。

 長時間労働だって減らすことができないのに、モラハラまで手を付けるのはムリでしょ?

 いや、同時にやればいいことだ。

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