これによって、労働環境は一変する。

 先の調査でも4割が「業務の負担が増えた」とし、そのうちの6割超の労働者が、「ストレスが増加した」と回答。職場の人間関係の悪化、上司からの攻撃や暴力……etc etc、いわゆる「モラハラ」が増えてしまった。

 「モラハラ」とは、モラル・ハラスメント。日本でいうところのパワハラである。

 そこで今回は、「モラハラを生む職場」についてアレコレ考えてみようと思う。

一流企業の社員が相次ぎ自ら命を絶った

 ますは今から8年前に起きた、“事件”から紹介する。

 2009年10月。フランス最大手の電話会社「フランス・テレコム」(社員約10万人)で、わずか1年8カ月の間に24人もの社員が「自殺」するという、衝撃的なニュースが飛び込んできたことがあった。

 このショッキングな“事件”は、私もこのコラムで取り上げていたので、以下、当時の文章の一部を抜粋し再掲する。

 51歳の男性社員は高速道路の陸橋から「仕事の重圧」を理由とする遺書を残して投身自殺。49歳の男性社員は降格を告げられた会議で、腹に刃物を刺して自殺を図るなど、自殺者の大半が職場で自殺し、労働環境の急変を嘆く遺書を残す人もいた。

 23人目の自殺者となった社員は自殺直前に父親に、「今夜オフィスで命を断つつもり。もちろん上司には言ってない」とのメールを送り、自殺理由について「部署の再編成が許せない。新たな上司のもとで働くくらいなら死んだほうがマシ」と記したという(9月19日付 AFP)。

 当時、私はこの事件の原因を「経営状況の悪化による、急激なリストラにある」としていたのだが、その後行われたさまざまな調査結果から、フランスでは「モラハラ」の代表事例のひとつとして扱われている。

 しかも、自殺者も24人ではなく34人。未遂者も13人以上いるとされ、中には50人とする報告もある。

 実はテレコムの事件が起こる2年前の2007年。自動車メーカー「ルノー」で、4カ月間に3人が自殺したことがあった。

 フランスの自殺者は日本ほど多くないものの、人口10万人に占める自殺者の割合は、G8(主要8カ国)中、ロシア、日本に次ぐ3位。1990年に入ってからは、それまで「ゼロ」とされていた「仕事を理由」に自殺する人が出てきたとされている。

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