心理的契約は多くの場合、会社という目に見えない組織だけでなく、実際に日々関わる上司(=経営者)との関係性において構築され、働く人たちの意欲に影響する極めて重要な要因のひとつだ。

 日本の経営者は「心理的契約」を重要視していないと、かねてから研究者の間では指摘されてきた。1958年に経営学者のジェイムズ・アベグレンが著書『日本の経営』の中で、日本企業の特徴は「終身雇用に代表される心理的契約にある」としているにも関わらず、だ。

 ある意味この「心理的契約」、つまり「私は企業から大切にされている」と従業員が思える企業との関係性が日本企業の強みでもあった。

 ところが、バブル崩壊以降「組織再構築」を意味するリストラクチャリングが、専ら「不採算事業・部署や従業員を削減すること」を表す言葉として定着した日本では、ある日突然、いとも簡単に「人」を「コスト」とし、契約の不履行を平然と行っている。本来であれば、契約の不履行により生じるリスクを最小限に抑える努力をする必要があるのに、それをしない。

 当たり前のようにあったものほどその存在に気付かないものだが、“心理的契約”も日本企業にとってはそのひとつ。それが双方にとって意味がない「追い出し部屋制度」が後を絶たない理由なのだ。

相思相愛は永遠じゃないと覚悟する

 ちょっとばかり違うかもしてないけど、ゲス不倫。つまり、社員は裏切られないと信じているのに、会社はしれっと違うことをやっている。ふむ。やはり、ゲス不倫だな。

 さて、この“ゲス”状況を乗りきるには、従業員側は昭和ノスタルジーから脱し、“離婚”しても自活できるだけの力をつけておかなくてはならない。すでに「自分だけは大丈夫」という時代ではないわけで。

 どんなに結婚したときに相思相愛で、「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しい ときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くす」と誓った夫婦でも、離婚することがある。

 そのときに「別れても食っていける」という力を妻がもっていれば、離婚によるストレス度合いは格段に低下する。

 そして、食っていける力を持っておけば、必ずや“運”が味方してくれる日が訪れる。
 少なくとも私はそう信じています。

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