実際、前社長の大西氏も昨年、雑誌のインタビューで、

 「当社は言われたことをしっかりやるゼネラリストの集団で、外れたことをする社員は肩身の狭い思いをしている。社内で認められなかった社員は辞めてしまった。私が社長に就任したときは、辞めて外で活躍している人たちを戻したいと思っていました」

 と語っている。

 つまり、部長に出世したのも、ひょっとしたらたまたま「運」が良かっただけ。たまたま大西さんが社長だったから、部長になれただけかもしれないのだ。

 そもそも「出世=業績に貢献してきた優秀な社員」とは限らない。部長になれなかった同期より「能力が高い」とは必ずしも言えない。

 「昇進するのは、どういう人なのか?」――。
 これは古くから国内外で、組織やキャリア発達を研究する学者たちの関心の的だった。

 その結果、「昇進と実績は無関係」という結論に多くの論文が至っている。

 っと、コレは言い過ぎた。

 昇進と業務実績との関連を“統計的な手法”で分析して行くと、「業務実績の良さと昇進」との間には統計的に有意な関連は認められない。つまり、「業務実績が高い→昇進」ではない。

 では、何が関連しているのか? 

案外、スチャラカ社員が出世する?

 先行研究をレビューすると、「学歴」、「採用時に自分が○をつけたか否か」、「入社時の評価」、「性別」などに、統計的に有意な関係が認められている。

 また「実績との関連性が認められた」とする論文でも、詳細に分析すると優先されるのは在職期間、学歴、残業時間の多さ、欠勤の少なさで、これらを調整すると「業績との関連」は消える。つまり、ここでも「業績が良いだけで昇進するわけじゃない」という、「まぁ、そりゃあそうだよね」という、当たり前といえば当たり前の結論が示されているのだ。

 “昇進の謎の研究”には、ちょっとばかり面白いものもある。

 今回の件とは関係ないけど、「無責任な人ほど出世する」という結果が、いくつかの論文で示されているのだ。

 海外ではニューヨーク大学特任教授のB.ダットナーらが、具体的なCEOの名前と企業の不祥事などから論述(「失敗と責任の心理学」)。

 国内ではかなり古い文献になるが、1984年に寄稿された「わが国大企業の中間管理職とその昇進」で分析されている。