飲み会の仕切りがうまい人はリーダーに適している

 「私は課長になって初めて部下を持って悩んでいた時に、ふと脳裏に浮かんだのが、自分が新入社員だったときの上司なんです。

 その上司はどちらかといえば、目立たないタイプでした。若いときって結構、上をバカにするでしょ? だから、なんでこんな人の部下になっちゃったんだろうって。最初は物足りなく感じていました」

 「ところが関係会社の人たちとの宴会のときに、『この人、かっこいい』って感動しちゃったんです。酒の席での話し方とか、酒の作り方とか、とにかくかっこよくて。特に感動したのが、そこにいる人、ひとりひとりにずっと気配りをしていたこと。宴会って、必ず輪に入れずに楽しめない人がいるでしょ? そういう人に声をかけて、乗せる。するとその人が気持ち良さそうに、いろいろと話し出して輪に溶け込むんです。会計の仕方もスマートで、気がついたときには精算がすべて終わっていました」

 「それからというもの、会社でも上司の行動が気になるようになりましてね。それで観察してみると、部下ひとりひとりをきちんと気にかけてることがわかった。何気ない言葉をかけて、相手にきちんと話させている。会話も仕事のことだけじゃなく、家族のこと、社会で起きてる事件、関心ごととか、上手く織り交ぜているんですよ」

 「自分が部下をもって、気がつきました。飲み会をかっこよく仕切れる人は、リーダーに適してるし、飲み会ってリーダーの資質を磨くいいチャンスだと。

 自分もその上司が宴会で上手くふってくれたんで、自分のことを話すことができた。不思議なもので、自分のことをきちんと聞いてもらえるだけで、安心して。職場でも、飲み会以降は普通に話せるようになったんです。

 課長になったときに、年上の部下とかもいたので、どうやって相手の心を開いたらいいか、悩んでいました。それで飲み会があったときに、上司が自分にしてくれたように、その人が話せる話題をふっていろいろと話してもらったんです」

職場とは立場が変わるから面白い

 「職場では僕が上司ですけど、飲み会って完全な年功序列みたいとこってあるでしょ? だから、その人もすごく話してくれて。『職場ではキミは上司だが、ここでは俺の方が年食ってる分、いろいろ知ってるぞ』って。僕も謙虚に話を聞くことができたし、実際におもしろい話もたくさん聞けて。そこで“謙虚さ”の大切さを学んだように思います。

 あと飲み会だと、相手も素を出すので、『ちょっとソレってどうなの?』という発言をすることがある。そのときに上手く相手を諌める術を、飲み会で磨くこともできる。

 相手を上手に主人公にする気づかいとか、自分とは違う意見と上手く立ち会うことって、ビジネスシーンのあらゆる場面に必要じゃないですか? そのことを飲み会で教えてくれた上司が、僕の『心の上司』です」