“ザ・昭和”にタイムスリップしてしまうオジさんたち

 さて、これはセクハラなのか?どうなのだろう? ……ふむ。やっぱりセクハラ、ですよね。どう考えてもセ・ク・ハ・ラです(あくまでも個人的感想です)。

 ただ、こういう“昭和”の光景が、いまだに珍しいことではないのも、また事実だ。

「私なんて目の前に坐ってるのに『おっ、そっちのカワイ子ちゃんにお酒作って欲しいな?』って言われてるわよ。すいませんね、カワイくなくて!」

「私なんて若手社員がかわいそうだから、替わって酒作ってたら、『なんだ? キミか?』ってがっかりされたわよ。すいませんね、ワタシで!」

「私なんて、ジジイのエロ話、ずっと聞かされた挙げ句、『こういう話を20代にすると、セクハラになるだよな』って。セクハラに年齢制限ないツーの!」

「写真撮影のときに、『もっと近くに寄って』なんて、フツーに言われてますけど…。何か?」

などなど、宴会の席になった途端、“ザ・昭和”にタイムスリップしてしまうオジさんは、どこにでも存在するのである。
(※上記は、私の同年代の女性たちの証言です)

「ご機嫌とりコミュニケーション」をしてるだけ

 そもそもこういった言動は、“オジさん”(あえてこう呼びます)にとっては、単なるコミュニケーションのひとつ。1990年代に「セクハラ」が問題になり始めた頃、週刊誌はこぞって、「これじゃ、女性社員とコミュニケーションとれないじゃないか!」と憤る男性たちを取り上げたが、“オジさん”は、ただのコミュニケーションとしか思ってない。

 コミュニケーションにおいて伝達されるのはメッセージだけで、「メッセージに込めた意味」は、メッセージを“発信した人の中”だけに存在する。

 その送り手の意味が、メッセージという記号を受け取った人にきちんと伝わると、コミュニケーション成立。伝わらないと「そんなつもりはない」「なんでそ~なるの!」という具合になる。

 件の事例も、「ご機嫌とりコミュニケーション」をしただけ。十分に、そう考えることができる。

 ご機嫌とりコミュニケーションは、社会関係におけるコミュニケーション行動のひとつで、「自分が影響を与えたい相手に対し、その人に近づいたり、好意をもってもらうための行動」である。

 「こっちこっち」と近くに坐らせたのは、自分の部下に近づきたかっただけ。自慢トークも、好意をもってもらいたかっただけ。お酒を作らせた先輩社員の行動は、「俺、ちゃんと新人に教育してますよ!」と、上司に好意をもってもらいたかっただけ。

 セクハラ、パワハラ、マタハラ、ハラハラと、タブーがどんどん増え、職場だとどう振る舞っていいのかわからず、コミュニケーションを取ることを断念していた男性が、勝手知ったる宴会で羽ばたいた。職場でクローズしていたコミュニケーションの扉を全開させ、コミュニケーションをとっただけに過ぎないのである。