偶然にも5日のナショナルジオグラフィックNEWSで「いつも誰かに見られている、超監視社会ロンドン」という記事が掲載され、テロ対策で設置された監視カメラで、人々は「怪しい」と思われたら最後まで延々と追跡されるリアルが伝えられている。
 本人は全く気付かない状況で、一挙手一投足が“他人”に見つめられてしまうのである。

長時間通勤のストレスは年収40%アップしないと割に合わない

 これはこれでこわい話ではあるが、それが痴漢のえん罪防止に役立っているというのだから考えさせられる。

 いずれにせよ、たかが通勤。されど通勤。
 言い古されているように、通勤は「痛勤」であり、最近はいくつか痛勤の影響に関する研究も蓄積されている。

 例えば、イギリスの西イングランド大学が5年以上にわたって、通勤がイギリスの会社員2万6000人以上に与えた影響を分析した調査(2014年に発表)では(Commuting and wellbeing)、

  • 通勤時間が1分増えるごとに、仕事とプライベート両方の満足度が低下し、ストレスが増え、メンタルヘルス(心の健康)が悪化する
  • 仕事の満足度については、1日の通勤時間が20分増えると、給料が19%減ったのと同程度のネガティブな影響が及ぶ
  • 同じ通勤時間でも、徒歩もしくは自転車で通勤する人は、バスや電車通勤の人に比べ、プライベートに対する不満が少ない

などの結論を得た。

 ドイツの経済学者のブルーノ・フライ博士が発表した論文では(“Stress That Doesn’t Pay: The Commuting Paradox” 2004)、
「長時間の通勤がもたらすストレスの高さは、年収が40%アップしないと割に合わない」
としている。

 また、スウェーデンで暮らす18万人の夫婦を対象に行なわれた調査では(“On the road: Social aspects of commuting long distances to work” 2011)、
「1人のパートナーが毎日就労するのに少なくとも45分通勤するときに、カップルが離婚する可能性が40%高い」ことが判明している。

 上記の調査はあくまでも、通勤時間との相関関係を調べているので、会社から遠くにしか住めないなどの経済的理由などが影響している可能性もある。