●国土交通省の「退職検討理由」に関する2016年7月の書き込みより
 「観光庁にいた頃、年度末残業が200時間以上(毎日深夜帰宅、土日出勤)となった時、生理が止まった。仕事が面白く麻痺していたが、真剣に退職して実家に帰ろうと思った。(在籍3~5年、現職、新卒、女性)
●財務省の入省前に「認識しておくべき事」に関する書き込みより
 「本当に日本の財政に関わっていきたいのか、それは自分を押し殺してでもやりたい事なのかよく考えるべき。予算策定時期には百時間超の超勤がザラにある部署も。(在籍5~10年、現職、新卒、男性)
●2017年5月の経産省の「モチベーション・評価制度」に関する書き込みより
 「政治家の理不尽な要求で省全体で大騒ぎしているところなどを見ると情けなくなる。(課長補佐、在籍15~20年、退社済み、新卒、男性)
●国交省の「入社後のギャップ」に関する2016年10月の書き込みより
 誰のために働いているのかわからなくなる。上司のためなのか、議員のためなのか。議員のために働いてそれが国のためになればよいが、政治家が腐敗しているため、そうはならない。だから辞めた。(総合職、在籍5~10年、退社済み、新卒、男性)

 200時間以上の残業、自分を押し殺す、政治家の理不尽な要求、誰のために働いているのか──。官僚への切符を手に入れたときに抱いていた崇高な気持ちは彼ら・彼女たちの心の中に残っていると信じたいが、日々の業務によって心身が蝕まれていく。 官僚たちの悲痛な実態に驚くとともに、暗澹たる気持ちになった。

 今からちょうど一年前の日経新聞でも「霞が関の明かりは消えず 官僚たちの長時間労働」という記事が掲載され、働き方改革との齟齬を指摘していたことがある(以下、日経新聞より)。

・「旗振り役の経産省以外で真剣にプラミアムフライデーに取り組む官庁はない」「働き方改革の政策づくりに取り組んでいるのに、自分たちの職場の働き方改革はなかなか進まない」(by 経済官庁幹部)

・「就職活動ではプライベートの充実や休暇が取れるかを優先した。官僚になることは考えなかった」(by 有名私大の学生)。

 どちらの記事も「不夜城」と揶揄される霞が関の内実を指摘したものだが、
 彼らに長時間労働を強いる要因は何なのか?
 何のために彼らはそこまで身を捧げるのか?

 ポジティブとネガティブな感情に翻弄され、心身を蝕むほど仕事にコミットさせる“パワーの正体”を、今回は考えてみようと思った次第だ。

 まずは、その手がかりになりそうな一本の論考を紹介する。