彼らは一様に、「心外だ」を繰り返す

河合:ただ、部下の守護霊でありたいと思っても、ビビって躊躇する上司も多いように感じます。「こんなこと言ったら、パワハラになるんじゃないか」とか、「これをするとセクハラになるんじゃないか」って。

 実際にあったんです。部下が辞めることになって、その理由を人事部が本人に尋ねたら「上司にセクハラされた」って。上司は確かにご飯を食べに行ったり、会議室で相談に乗ったこともあった。でも、それは部下が「相談がある」と言ってきたからやっただけだった。

 とかく今の会社は、部下オリエンテッドなので、結局、その人は左遷されてしまったんです。

松崎:なるほど。部下も都合が悪くなると、上司を売ることがあるかもしれないですね。

 僕はもっと割り切ればいいと思うんです。つまり、共感は単なるスキルだと。いやらしいといえばそうなんですけど、初めからスキルとして管理職に教育していかなきゃいけないんです。

河合:じゃ、スキルだと考えると、逆に自分が「クラッシャー上司になっているかどうか」のセルフチェックってできますか?

 先生のご著書を読んで「もしや自分も?」とヒヤッとした人は、問題ないと思うんですね。ここまでの先生と私の話を聞いて、なにがしか心に刺さるものがあるはずで、それがなんらかの行動につながっていくと思うんです。

 問題は「あ~、いるいるこういうひどいヤツ」とまるで他人事の人。そういう人向けに「これをやっていたらアナタもクラッシャー!」みたいなセルフチェックリストがあれば、教えてください。

松崎:そうね~、セルフチェックね……。あのね……よく「心外だ」って言う人。

河合:心外、ですか?

松崎:そうです。僕ね、何人かの本当のクラッシャー上司に対して、「あなたはクラッシャー上司ですよ」と指摘して、「あなたがやっていることは、こういうことなんですよ」って言ったことがあるんです。

 そうしたら彼らは一様に、「心外だ」と言っていました。私は部下を育てようと正しいことをやっているのに、何でそんなことを言われるんだって。僕が証拠を突きつければ突きつけるほど、「心外だ」と繰り返す。

河合:チェックポイントその1。「自分の言動を責められると『心外だ』とつい言ってしまう」。

松崎:河合さんのコラムのコメント欄にも、コラムの本筋とは全く関係なく「アンタはフリーランスだから組織のことまるでわかってない」とか、「アンタは女だからいつもそういう風に書く」とか書き込む人いるでしょ? ああいうタイプは意外と「心外だ」チェックに当てはまるかもしれないですね。

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