辞める決意につながった役員の一言

 もうひとりの女性も、似たような「幼稚なイジメ」の連続に嫌気がさして辞めたわけだが、決定打となったのは、

 「少しは女らしくしろよ」

という一言だった。役員会議で役員のひとりが、わざと聞こえるようにつぶやくこの言葉を聞いたときに、辞めよう! と決意したのだという。

 彼女たちの決断に、「そんな些細なことで辞めるのか?」と疑問に思う人もいるかもしれない。でも、どんなにたわいもないことであれ、積み重なると心がひずむ。そして、ミシミシと音をたてて弱っていく心に、きっかけとなる一撃が打たれた途端、切れる。

 “ブチッ”という音とともに、「耐えている自分」がアホらしくなり、決意する。「もう。いいや」と。“解放”を選択するのだ。

 私は組織の人間でもないし、毎回出なきゃならない会議があるわけでもない。でも、時折「だから女は」とか、「感情的だ」とか言われることがあって、その度にエラく、へこむ。自分ではただただきちんと仕事をしているだけなのに、なぜ、矛先がそこに行ってしまうんだろう? と。自分ではどうやったって変えることのできない、“自分”への否定に、どうしていいのか分からなくなってしまうのだ。

 もちろん気にしなけりゃいい話だし、スルーすることも多い。それでも、「なんでやねん」というやるせなさが、ゼロになることはない。

“会議アレルギー”を示す女性マネジャーが半数以上

 

 いずれにしても、「女と男」という区別を、相手の息の根を止める切り札のごとく使う男性がいて。それが「経営会議」の場で行われたことに、彼女たちはショックを受けた。彼女たちにとって、経営会議は自分の存在意義を示す極めて重要な場。そこで「ひとりの人間=役員」としてではなく、「女」として扱われたことが悔しくてたまらなかったのだ。

「経営会議ほど、自分の意見を言いづらい場所はない」

 こう訴える女性たちは、実に多い。といっても、日本ではない。女性初の大統領が誕生するかもしれない、米国である。

 1年ほど前、「Woman, find Your Voice」というエッセーが、米国で話題になった。それは「フォーチュン・グローバル500」にランクインした企業の女性マネジャー270人に行ったアンケート結果をベースに執筆されたもので、回答者の半数以上の女性たちが、会議アレルギーを示したことに、多くの人が共感した。つまり、「経営会議」という場が女性マネジャーに鬼門であると、女性も男性も認識していたのである。

 一方、エッセーには女性たちが勤める企業の男性幹部たちへのインタビュー結果も示されていて、彼らは経営会議の女性たちの振る舞いについて、

「女性は反論されると自己弁護に走る」
「女性はすぐに動揺する」
「女性は話し方が論理的でない」
「女性は意見されると黙る」

といった具合に、“女性は○○”を連発した。