あれから7年が経った今、その予想が当たってしまったというか、なんというか。多くの企業に「女性初の部長」が誕生し、女王蜂症候群に陥った女性上司たちが、皮肉にも女性部下たちの行く手を阻んでいる。女王蜂のプレッシャーに耐えきれず辞めてしまったり、やる気を失ったり。
 以前とは比較にならないくらい、女性部長を増やしたいと思っている男性上司は増えているのに、本当にもったいないお話である。

 しかしながら、私はこれは「女性の問題」のように見えて、「女性の問題」ではないと考えている。

 興味深い調査がある。米メリーランド大学のC.L.Dezso教授らが、20年に渡って1500社のデータを用いて、女王蜂症候群の存在を検証する統計的分析を行なったところ、1人の女性が上級管理職に就いたときに、2人目の女性がそのポジションに就く可能性は51パーセント低くなった。

 結果だけを見ると、「やっぱり女王蜂が女性登用を阻んでるんだね!」と解釈しがちなのだが、これは“みせかけの数字”であることが分かった。男性がCEO(最高経営責任者)の場合と、女性がCEOの場合に分けて分析を行なうと、後者では上級管理職に就く割合が増えていたのである。

 女性がCEOに就いている職場では、ダイバーシティが進んでいて、男とか女とか白人とか有色人種とかの差別がなく、賃金格差もなかった。まぁ、だからこそ女性がトップに就けたのだろうけど。

 いずれにせよ、「ウチはこんなに女性活躍(ダイバーシティ)を進めてるんですよ~」とアピールすることが目的で、女性をガラスのショーケースに入れるとその女性は女王蜂症候群になる。

 片やすべてのメンバーに公平にチャンスが開かれ、格差がない職場では、“たまたま”女性がトップに就いただけなので、女王蜂症候群にならない。

 例えば、ラテンアメリカでは、1991年に世界で初めて法的にクオータ制を導入したアルゼンチンを皮切りに、その他の国々でも法的クオータ制が広がり、議席におけるパリティ(男女同数制)を法律で規定した国がすでに6カ国もある。アルゼンチン、ブラジル、チリなど、続々と女性大統領が誕生し、男女の格差が極めて小さい。1999年~2013年に、女性大統領の国では24%女性閣僚が増えているのだ。

 日本の国会では今日も、働き方改革の議論が続いているけど、「柔軟な働き方」を目指すなら、企業にも国にもクオータ制を導入する議論をすればいいのに……、なんてことを考えているのでありますが、ムリか……。

『他人をバカにしたがる男たち』
発売から半年経っても、まだまだ売れ続けています! しぶとい人気の「ジジイの壁」

他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)

《今週のイチ推し(アサヒ芸能)》江上剛氏

 本書は日本の希望となる「ジジイ」になるにはどうすればよいか、を多くの事例を交えながら指南してくれる。組織の「ジジイ」化に悩む人は本書を読めば、目からうろこが落ちること請け合いだ。

 特に〈女をバカにする男たち〉の章は本書の白眉ではないか。「組織内で女性が活躍できないのは、男性がエンビー型嫉妬に囚われているから」と説く。これは男対女に限ったことではない。社内いじめ、ヘイトスピーチ、格差社会や貧困問題なども、多くの人がエンビー型嫉妬のワナに落ちてるからではないかと考え込んでしまった。

 気軽に読めるが、学術書並みに深い内容を秘めている。

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