「彼女はホントに女性たちが活躍することを望んでいるのか?
女性たちの活躍を阻んでいるのは、彼女自身なんじゃないのか?って。
実際、私は彼女の下にいるときが一番、しんどかった。『もっと頑張れ』『頑張りが足りない』っていつも言われている気がしました。運良く異動になって、男性上司になって、今はホッとしています」
……以上です。
私が冒頭で「書き方を間違えるとややこしい問題になる」と書いたのは、この“社内#me too”問題である。これはとても微妙な問題なので、正直なところ女性である私が取り上げるのはとても難しい。
と言ってもあくまでもこれは「性被害」とは思えない内容の場合だ。
ただ、どういった内容であれ、自らの経験を告白するのはとても勇気のいること。相手あっての問題であればなおさらである。一見「嫌なことは嫌と言えるタイプ」のように見えて、実際にはそうでない場合もある。
その一方で、そういった性被害とはほど遠い告白の内容を知ると、「私(河合)も告発されてしまうのではないか?」と心配になることもある。例えば、仕事関係の年下の男性を飲みに誘ったこともあるし、話の流れでその男性の彼女の話を聞いたりすることもある。
とどのつまり、本人にしか分からない問題で。アレコレ意見することは、本人だけでなく、“誰か”を傷つけることになりかねない。だから、何も言えない。
なので今回取り上げた女性の告白は、一般的に広がっている“#me too”ではなく、あくまでも「いち女性上司の告白に対する意見」ということで受けとめていただきたいので、よろしくお願いします。
いずれにせよ、女性上司を持つ女性たちにフォーカスインタビューしたのには、理由がある。
私が講演会や取材などで企業にお邪魔させていただく中で、職場に女性が増えたなと実感する一方、「部長レベルの女性」はあまりというかほとんど増えていない。
その理由を部長さんや社長さん(いずれも男性)に聞くと、
「女性たちが管理職になりたがらない」
と答える。
何年も前から一緒。男性の上司たちはず~っと「当人の問題」と答え続けているのだ。
そんな折、ある女性誌の編集者と雑談している際に「親分肌の女性上司はいいけど、姉御肌の女性上司はイヤ」という意見を聞いた。
姉御肌上司は「こうしなさい、ああしなさい。これはダメ。それは違う」と自分の経験に基づき、あれこれ事細かく、指示を出す。一方、親分のように「最後は私が責任とるから、自分の思ったとおりにやってきなさい!」と太っ腹になってくれればいいのに、そういう女性上司は極めて少ない……。そんな話だった。
そこで実態を知りたくて、女性たちに集まってもらったというわけ。
で、彼女たちの話を聞きながら私が思い出したのが、女性管理職が「女性部下はめんどくさい」とホンネをこぼしていることを書いたこちらのコラム「『女性の部下を面倒くさい」と思う女性上司のジレンマ」だ。
このとき女性管理職たちは、
「時々思うんです。女性の登用を阻んでいるのは、自分かもしれないな」
と危惧し、女性部下に頑張ってほしいと思う気持ちとは裏腹に、女性部下にイラつき、ついつい厳しいまなざしで見てしまう自分に苦悩していた。
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