それに対して一部の識者や研究者たちが、
 「サンドバーグの本は女性の自助努力を促すだけ。かつての『女王蜂症候群』を想起させる」と批判。

 さらに、2016年には英国のジャーナリスト、ドーン・フォスター氏が、 「サンドバーグのような全てを手に入れられる一部のエリートしか、前のめりなんてなれない。『Lean In』は男女格差問題の解決ではなく、むしろ女性間の階級格差を助長した」と『Lean out』を出版し、「リーン・イン vs リーン・アウト」論争なるものも勃発し、“女王蜂”という言葉が多用されるようになったのである。

 と、前置きをアレコレ書き連ねてきたのだが、女性上司を持つ女性たちのインタビューで、彼女たちが語る女性上司の姿に、「女王蜂症候群」を感じ、恐いというか、興味深いといいますか。いや、「それ、分かるわ~」と至極納得。「書いちゃおうっかな~」と思ったというわけ。

 ただし、米国で“今”使われている女王蜂症候群ではなく1970年代のセオリーに基づき、アレコレ考えてみようと思う。

 え? 今使われている「女王蜂症候群」と何が違うって?

 要するに、原型を逸脱し、拡大解釈されているのです。

 いかなる言葉も多用されるようになるとそうなるものだが、「女王蜂」なる言葉も拡大解釈され、女性の意地の悪さを示す格好の言葉として悪用されている感が否めない。

 「女の敵は女」とか、「女と女の戦い」とか。男性たちがちょっとばかり喜びそうな話題に、「Queen Bee」という言葉が濫用されているのだ。

 と、米国の話はこれくらいにしておこう。お待たせしました。フォーカスインタビューに参加してくれた女性のうちの1人。38歳の女性、Aさんの話からお聞きください。

 「うちの会社で部長になっている女性は2人です。そのうちの1人が、私の上司なんですけど……、やっぱり厳しいですよ。たぶん『自分も乗りこえてきたから、あなただって頑張れる』って思ってるんだと思うんです。

 つい先日も、息子から『熱があって学校を早退した』とLINEが来たので、私も早退しようとしたんです。そしたら、その女部長に『風邪くらいで死にはしないわよ』って言われたんです。

 一瞬、耳を疑いました。何を言っているのか分からなかった。でも、彼女の言いたかったことって『私は子どもが熱を出すくらいで仕事を休んだことはない』ってことなんですよね。

 いや、いい面もいっぱいあるんですよ。仕事のやり方を教えてくれることもあるし、部下の相談には親身になってくれる。『アレはどうした?』とか気にかけてくれたり。今までの男性上司がみんな適当な人たちばっかりだったから。女性の方が細かい分、いろいろと気付いてくれるんですよね。

 ただ、やっぱり自分が部長になるまで同期の男性としのぎを削って、寝る間を惜しんで仕事と子育てをやってきたって思いが強すぎるんだと思います。だから下が育たない。うつになったり、辞めちゃったり。これって問題ですよね」(女性A)

 「下が辞めちゃうというのは? パワハラってことですか?」(河合)

 「う~ん……。アレをパワハラと言ってしまうのは、ちょっと気の毒ですかね…」(女性A)