
就活って、何なのだろう? これまで、“就活”という呼び方、一括採用、内定エリートなど、関連する素朴な疑問や見解をアレコレ書いてきたけれど、本当に就活ってナニ?
オトナたちが手をかければかけるほど、「???」な方向に進んでいるように感じるのは、私だけだろうか?
解禁を6月にするだの8月にするだのの、経団連すったもんだ問題も、採用選考に関する指針も、わけがわからない。
そういえばチョロ松が、「就活は、まったくする気ないよね~」とテレビ画面の中で嘆いていたけど(テレビアニメ「おそ松さん」)、今や就活は“国民の一大行事”。いつの間にこんなことになってしまったのか。
3月1日の就活解禁日に新聞各紙で掲載されていた写真は、異様だった。就職情報大手のリクルートキャリアが幕張メッセで開いた合同企業説明会に、“黒スーツ軍団”が押し寄せた光景は、まるで「国葬」。学生たちは「就活ロボット」みたいで、とにもかくにも異様という言葉以外思い浮かばないほど、異様さを極めていた(参照記事:「就活スタート 会社説明会が解禁 」日本経済新聞)。
そこで今回は、誰もが「なんか変?」と感じているニッポンの就活について、ある一本の映像から改めて考えてみようと思う。
ショートアニメ「就活狂想曲」
まずは、以下の作品をご覧いただきたい。
これは昨年、文化庁メディア芸術祭入選を皮切りに、フランス、ポルトガル、ブラジルの映画祭で次々と入選を果たしたショートアニメ「就活狂想曲」。
描いたのは“リアル就活生”だ。現在アートディレクターとして活躍する吉田まほさんが、東京芸大大学院の修了制作として制作・提出した作品である。
さて、いかがでしょう。ご覧頂いただいたとおり、わずか8分の美しい映像には、就活の滑稽さと、異常さと、就活生の苦悩と変化が実に見事に描写されている。
大学では自由だったごく普通の学生たちが、
真っ黒のリクルートスーツに着替え、
茶髪を黒髪にし、
モリ気味のアイメイクを落とし、
作り笑顔を練習し、
うなずきマシーンと化し、
積極的に質問をし、
就活マニュアルに書かれている“人材”に、大変身!
待てど暮らせど鳴らぬ携帯にドキドキし、お祈りメールに怯え、内定レースから1人抜け、2人抜け……、
最初は変化する友人に戸惑っていた主人公も、いつしか就活の波に飲み込まれる。で、やっと200%“清く、正しく、美しい”就活生を演じたつもりが、最後の最後でダメ出しをくらい地獄の底に突き落とされ――。
なんだか見ていて切なくなった。
と同時に、就活が「オトナたちが用意する舞台に立つための演技力を高める装置」だったことに、気付かされた。就活狂想曲に引きずり込まれた学生たちは、必死で“規格化された若者”を演じているのだ。
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