「瞬間、『やばいことしたな』と思ったものです(笑)」

「案外、オッサンたちがこの国の希望かもしれない」――。

 ふむ。いいコピーである。

 「女性を輝かせる」前に「オッサンを輝かせろ!」と、私はこれまで幾度となく訴えていたので、やっとこういった会社が出てきたことが、率直にうれしい。

 現在、日本の総人口は約1億2700万人。そのうち大人人口(20歳以上)は約1億500万人。40代以上は約7700万人。これが2020年には約7800万人に増え、「大人の10人に8人」が40代以上になる。

 つまり、「オッサンにニッポンを変えてもらわない」ことにはえらいことになる。「いやいや、あとは楽させてもらいますよ~」なんて50過ぎで、心の引退をされては現実問題として困るのである。

 で、ここで疑問がわくわけです。

 「オッサンにやる気さえあれば、ニッポンは変わるのか?」と。

 とかく昨今のオッサンたちはお疲れ気味。時折やる気を見せるものの「あの人、やる気だけはあるんだけど……」と、周りからちょっとばかりウザがられたり、やる気を見ればみせるほど周りのテンションを下げる“残念なオッサン”も少なくない。

 いったいどんな「やる気」ならオッサン自身も、ニッポン(=会社)も変えることができるのだろうか?

 “オッサン”の連発で申し訳ないのだが、結論から述べると私はオッサンの「やる気」が、「人格的成長(personal growth)」というポジティブな心理的機能によるものなら、変わると確信している。

 「人格的成長」とは「自分の可能性を信じる」気持ちのこと。専門家の中にはこれを「チャレンジ精神」と同一に扱う人もいるが、実際には異なる。 チャレンジ精神が、 自分の行動する力に価値を見出していることに対し、人格的成長は、自分の内在する力に価値を見出すもので、

 先の動画でいえば
「まだ、できると思うんです」
という、実にシンプルかつ根拠なき確信である。

 そう。「根拠のなき確信」ほど、人間の底力を引き出す無謀な心の動きは存在しない。

 実は森下仁丹の駒村純一社長も、自分の可能性にかけ、会社を変えたひとりだったのである(詳細は同社HPをご覧下さい。以下、抜粋して要約)。

 駒村さんは元商社マン。イタリアに駐在した時には現地の出資先の社長も経験するなど、まさに順風満帆のキャリアを歩んだ人物である。

 ところが、ある日ふと「このままではつまらない人生になってしまう」と感じ始める。引退に向けて安定した人生が約束されていたにも関わらず、だ。

 そこで一念発起し、52歳で商社を退職したそうだ。

 「早期退職の意向をメールで送ったときは、エンターキーを押した瞬間に、『やばいことしたな』と思ったものです(笑)。

(中略)

 転職先が決まっていたわけではありません。まだまだ自分は一線で働きたいという思いだけで、退職を決めました」

 駒村氏はこう語っている。