また、福利厚生の充実度は高く、食費補助、交通費補助以外にも、貯蓄基金の運営、民間医療保険への加入などなど至れり尽くせり。バーケーション(休暇)は勤続1年で6日間、その後勤続4年目まで毎年2日ずつ増え、勤続5年目以降は5年ごとに2日ずつ増える。 休暇期間中は通常の給与に加え、1日最低 25%以上のバケーションボーナス(休暇手当)が支払われる。

 なんとも…。問題山積みの日本からしたら、夢のような制度。羨ましすぎるぞ。

 もちろん問題もある。非正規の増加だ。メキシコで創出される正規雇用者数は、毎年、50万~60万人程度。一方、生産年齢人口(15~64歳)は毎年 100 万人以上増加し続けており、若年世代の多くが非正規(有期雇用)に流れているのだ。

 とはいえ、メキシコでは無期雇用が原則で、有期契約でも労働者が不利にならないような取り決めがされているため、私たちが想像する“非正規”とは若干異なり、“光ある非正規”なのだ。

「想像できない結果だ。これは経営者への警鐘である」

「でもさ、日本だって高度成長期は、そんな感じだったよね?」
「そうそう。親戚の就職先までめんどうみてくれた会社もあった」
「私なんて自宅なのに、住宅手当、月2万円ももらえていたし……」

 はい。そのとおりです。

 「ってことは、同じ調査を1970年代とかにやったら、日本はトップ?」……その可能性は高い。

 かつての日本人は“会社人間”と揶揄されたが、これはその時代のお父さんたちが望んだ働き方でもあった。日本全体が「アメリカに追いつけ、追い越せ」という価値観を共有していたことに加え、終身雇用制と年功序列という、いわば労働者と企業の間で成立していたギブアンドテイクの関係が存在した。つまり、企業はお父さんたちを「大切な人」として扱ってくれたし、お父さんたちも「会社は僕をちゃんと守ってくれるから」と、「会社のため」に働いたのだ。

 だが、今は……。“早期退職”という名のリストラで、経営者の尻拭いをさせられるご時世だ。非正規という“身分”の賃金は低い。労働者を守るための労働基準法も、抜け穴だらけだ。

 「今回の“日本の結果”は、愛社精神や長時間残業を厭わず献身的に働くライフスタイルからは、想像できない内容だ。これは経営者への警鐘である」

 これは、調査を行ったエデルマン・ジャパンのロス・ローブリー社長の言葉である。

 経営者への警鐘――。ニッポンのトップの方たちは、このお言葉をどう受け止めるだろうか?

 「信頼」は、企業経営に多大な影響を及ぼす。競争が厳しくなればなるほど、従業員同士、上司部下、経営者と従業員、会社と働く人、各々の間に存在する目に見えない変数=「信頼」が、経営に与える影響は高まっていく。

 信頼の背景には、常に期待(expectation)が存在するが、働く人たちはそもそも何を期待しているのか?

 そこで今回は、この調査の“もう一つの興味深い結果”を基に、「信頼」について、考えてみます。

経営者に対する日本人従業員の視線

 まずは、下の表をご覧下さい。

 これは
  「(従業員から)CEOへの信頼を築く上での、重要な要因」(=重要度)と、
「CEOの実施度」(=パフォーマンス)を尋ね、
「その差」(=差)を算出したモノ。

 さて、この結果を見て、どう思いますか?

エデルマン社のホームページより

 信頼を得るのにもっとも重要な要因のトップは、「従業員を大切にする」(43%)。次いで「問題や危機に対処するために責任ある行動をとる」(42%)、「倫理的な行動をとる」(39%)。

 一方、差は「誠実さ」「エンゲージメント」のカテゴリーで高く、具体的には「従業員を大切にする」(37ポイント差)、「オープンで透明性のある行動をとる」(36ポイント差)、「倫理的な行動をとる」(34ポイント差)の順となった。