「夫も非正規で働いているのに、このままでは出産しても子どもを預けることもできない。ホントに子どもを育てていけるのか?」
 出産という人生最大の幸せを目前に、メンタル不全に陥っている。

 ……どれもこれも真っ暗闇で、私にはまったく希望が見えない。

 景気がバブル並みと言われても、あの頃と今の日本の空気は全く異なる。
 バブル時代の話をすると否定的に受け止められてしまうのだが、あの頃はみな「前」を向いていた。前に進めると信じることができた。光が見えた。とにかくみんな明るかった。

 とはいえ、なにも「あの頃がよかった」とノスタルジーに浸っているわけじゃない。

 報じられる「数字」と肌で感じる「空気」が違い過ぎて、いったい何のために私たちは働いているのだろう? と。生活を豊かにするために、必死に汗をかき、ときにやりがいを感じ、やるべき仕事があることに幸せを感じ、働いたんじゃないのか?

 少しでも豊かになりたいと知恵を絞り、技術力を高めてきたはずなのだ。
 なのに、働けど働けどちっとも潤わない。雇用形態の違いだけで子を授かるという“幸せ”な時間が不安に埋め尽くされ、“終の住処”は危険と背中合わせを余儀なくされ……。

 さらには無期雇用ルール前に、雇い止めになった人たちの状況が次々と報じられている。

 その上、今年10月からは、生活保護受給額のうち食費や光熱費など生活費相当分が、国費ベースで年160億円(約1.8%)削減され、母子加算(月平均2万1000円)は平均1万7000円に減額される方針が伝えられている( ※児童養育加算の対象は高校生に広げた上で、一律1万円になり、大学などへの進学時に最大30万円の給付金が創設される)。

 かつて経団連の会長だった奥田碩氏は、
 「人間の顔をした市場経済」という言葉を掲げ、
 「これからの我が国に成長と活力をもたらすのは、多様性のダイナミズムだ。国民一人ひとりが、自分なりの価値観を持ち、他人とは違った自分らしい生き方を追求していくことが、こころの世紀にふさわしい精神的な豊かさをもたらす」(著書『人間を幸福にする経済―豊かさの革命』より) と、名言を吐いた。

 にもかかわらず、うつ、過労死、過労自殺、孤独死、子どもの貧困……etc、etc。
 社会問題が山積し、「人」の価値がとんでもなく軽んじられている気がして滅入ってしまうのである。そして、あまりにも問題が多すぎて、社会全体が思考停止に陥っている。私には、そう思えてならないのである。

 そんな折、「インドのいくつかの州は、2年後までに「ベーシックインカム(最低保障制度)」を導入するかもしれない」とのニュースがあった。

 ベーシックインカム(BI)は、小池百合子都知事が希望の党を立ち上げ、衆院選に向けた政策集を発表した際、「AIからBIへ」という文言のもと社会保障政策の転換案の一つとして盛り込み話題となった。だが、世界各地では既に実験的な試みが行われている。

 今回報道のあったインドでは、2010年にマドヤ・バングラディッシュ州で試験的に行なわれた。その結果、健康の改善や学校に行く子どもが増加し、女性の雇用が増加したことから、本格的な導入が今回検討される、という運びになった。