それでも、私はハイヒールを履く

 最後に。

 私もハイヒールで痛い経験をしてきた。

 もっとも悲惨だったのは社会人成り立ての頃。CAの訓練所に実家から通うのは、ハイヒールとの闘いだった。空を飛ぶようになってからは、「フライトで足が浮腫む」との理由で大きめのヒールをはくようになったが、飛行機に乗り込むまではパカパカで、何度も脱げ、お客さんに失笑された。大きめのサイズにしていても浮腫んで履くと痛いので、浮腫み防止の特殊なストッキングを履いたり……。

 何度も「スニーカーでサービスさせてくれ~~」と願ったものだ。

 ところが、今は好んでハイヒールを履いている。

 講演会では90分立ちっぱなしなので、つい靴を脱いでしまってコロッと壇上から落ちそうになって慌てたり、“行きはヨイヨイ、帰りは恐い~”で、自宅前の坂道を後ろ向きで歩いたり(つま先が痛いので)、マンションに入った途端、裸足になったりと、絶対に人さまには見せられないような姿になっている。

 それでも、私はハイヒールを履く。

 いわば、“戦闘服”。アレを履くと「よし、行くぞ!」と、「河合薫スイッチ」が入る。なので、テレビ、大学の講義、講演会など、人びとの視線にさらされる仕事のときは、ハイヒールを必ず履いている。

 スーツは着ない。ジャケットも着ない。ジーンズやノースリーブ、ワンピースがほとんど。それでも、踵のあるハイヒールだけは履く。

 たかがハイヒール。されどハイヒール。“ハイヒールの効用”は、他者が決めるのではなく自分で決めるものなんだと思いますよ。

 ……どなたか絶対に痛くならない、“秘密のインソール”を開発してくれませんか?ある程度値がはっても買いまっせ。どうぞよろしく。

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