「マドンナ…か?」

 ニコラさんはBBCの取材に対し、

「友人たちにハイヒールを強要されたことを話し、Facebookにも投稿したところ、同じような経験をした女性がほかにもいることを知った。非難されたらと怖くて、最初は言い出しにくかったけれども、これは声をあげなくてはと思った」

と、女性が職場でハイヒールの着用を強制されないよう法改正を求めるオンライン請願を開始した理由を説明した。彼女を採用したPortico社の代表は、

「顧客に対面するスタッフが常にきちんとした身なりをして、クライアントのブランドやイメージを確実に良い形で示すため、服装規定は役立つ」

と指摘する一方で、

「靴についての意見を参照し、規定を点検するつもりだ」

と話した。

 ロンドンに数年前から赴任している知人に、昨今の“ロンドン事情”を聞いたところ、「こっちの女性たちはとにかく強い!」という反応が即座に返ってきた(苦笑)。「私は自由よ。ナニか?」といった感じなのだ、と。

 彼は従業員3000人規模の金融関係の企業に務めているのだが、そこで働く女性たちの多くはスニーカーで通勤し、オフィス内ではカジュアルで歩き易そうな革靴を履いているそうだ。ただし、重要な顧客に対応するときや、ミーティングの際にはハイヒールに履き替える。なので、机の下には何足もの靴を並べている女性が結構いるのだという。

 服装もカジュアルでジーンズの女性が非常に多く、専門職や上級職の方でも既婚、子育て中の女性が当たり前のように多い。「多い」とは聞いていたけど、実際現地に行ってみると管理職、営業職、基幹職に就いている女性が圧倒的に多いことに驚いたとも言っていた。

 とまぁ、ここまでは「ふむふむ。そうだろうね」という感じなのだが、現地ならではの興味深いことも教えてくれた。

 ジムで体を鍛えている女性が多い、のだそうだ。

 早朝から開いている会社内のジムはキャリアウーマンの女性で溢れ、勤務時間中でも忙しくなければジムに行ったり、外を走ったりする女性を英国ではよく見かけ、「日本ではあまりない光景なのでビックリした!」と。

 マドンナ…か?

 ま、ジム通いについては追々考えていくとして(機会&必要があれば…笑)、彼の話を聞いていてあることを思い出した。

「フランス人が日本に転勤になったり、あっちからトップクラスが日本に出張にくるときには、日本向けマニュアルがあるんです。その中に服装に関する項目があって、『日本では必ず紺がグレーのスーツ、ストライプのネクタイを着用すること。』と書かれてるんですよ。うちの会社は他の国にも現地法人があるのでマニュアルはあるけど、服装のこと、しかもネクタイのことまで書かれてるのは日本だけです」

 こんな笑うに笑えない話しを、フランスに本社がある外資系企業に務めている方が教えてくれたのだ。

 ……確かに……。日本人ほど「み~んな一緒」を好み、「あんな服装だからダメ」と外見で判断する風土が根付いている国はないかもしれない。