さらに、現行では「企画業務型裁量制の対象業務に当たるか否かは、個々人の労働者ごとに判断され、「企画課」などの部門の全業務が対象業務になるわけではない」としているのに、調査では、59.1%が「部門または職種全体が適用されることとなっている」と回答している。

現状の「裁量労働制」にも課題ありあり

 で、ここからが「裁量制=自由、働きやすい」という方程式を議論する上で大切なのだが、「裁量労働制の適用は期待通りであったか?」との問いへの答えは次のようになった。

  • 「仕事の裁量が与えられるので仕事がやりやすくなる」については、半数以下の45.1%が「概ね期待通り」
  • 「仕事を効率的に進められるので、労働時間を短くできる」については、3人に1人(38.3%)が、「あまり期待通りとなっていない」
  • 「能力や仕事の成果に応じた処遇が期待できる」については、31.2%が「概ね期待通り」、41.1%が「一部期待通り」としている一方で、26.6%が「あまり期待通りとなっていない」。

 「仕事と生活のバランスを保ちやすくなる」については、

  • 「概ね期待どおり」34.0%
  • 「一部期待どおり」32.9%
  • 「あまり期待どおりになっていない」31.7%

と意見が割れた。

 いかなる試み(プログラム)も実態を捉え、当初目的とした成果が上げられているかどうかを評価し(プロセス評価)、問題点を見極め、それを改善しなきゃダメ。それをないがしろにして対象者を広げれば、どんどんと目的から外れ、使いものにならないプログラムと化す。

 繰り返すが「裁量制」という人が生きる力を高めるリソースを、いたずらに使わないでほしい。もし、今のまま法案を成立させるなら、裁量労働制などと、あたかも労働者に聞こえのいい言葉を使わず、堂々と「定額働かせプラン」と言ってほしい。

 ふむ。ポスターにでも使えそうなフレーズだな。

 「“定額制働かせプラン”でコストカットを! 厚生労働省」

 労働者が払うのは「労働力」であることをお忘れなく……。

『他人をバカにしたがる男たち』
なんとおかげさまで五刷出来!あれよあれよの3万部! ジワジワ話題の「ジジイの壁」

他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)

《今週のイチ推し(アサヒ芸能)》江上剛氏

 本書は日本の希望となる「ジジイ」になるにはどうすればよいか、を多くの事例を交えながら指南してくれる。組織の「ジジイ」化に悩む人は本書を読めば、目からうろこが落ちること請け合いだ。

 特に〈女をバカにする男たち〉の章は本書の白眉ではないか。「組織内で女性が活躍できないのは、男性がエンビー型嫉妬に囚われているから」と説く。これは男対女に限ったことではない。社内いじめ、ヘイトスピーチ、格差社会や貧困問題なども、多くの人がエンビー型嫉妬のワナに落ちてるからではないかと考え込んでしまった。

 気軽に読めるが、学術書並みに深い内容を秘めている。

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