グラフで見る「裁量労働制」の問題点

 2014年に厚労省と労働政策研究所が、「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査」を行なっているのだが、その結果をみれば問題点がより明確になる。
(「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査」の結果を基に河合作成)。

一カ月の労働時間

 「企画業務型裁量制の社員」と「一般の社員」の労働時間を比較すると、裁量労働制の方が労働時間は長いことが分かる。収入のボリュームゾーンは700万円前後。900万円以上が20.9%である一方で、500万円未満も14.3%。現在の厳しい条件の中でこれなのだから、今後対象者が拡大されれば当然、懸念すべきだ。そもそもみなし残業の算定を半数近くが「不明」としている時点で、“ペイ”の妥当性に言及しないのはおかしい。

裁量労働制への満足度
不満な点(複数回答のワースト5)

 次に「裁量労働性への満足度」だが、7割以上が満足していると回答しているが、不満とした2割強に注目すべきだ。

 不満の原因を探ると、

  • 半数近くが「労働時間(在社時間)が長い」とし、
  • 4割が「業務量が多過ぎる」とし、
  • 3割が「賃金が低い」とした。

 さらに、

  • 3割弱が「パフォーマンス(人事評価)が不適切」とし、
  • 4人に1人が「みなし時間の設定が不適切」としている。

 裁量労働制の適用を拡大するのに、これらの不満を解消する手立ては議論されたのか?
 法律案に生かされているのか?
 検証するための貴重な資料なのに、これをムダにしてどうする?