一体全体、責任は誰にあるのか?

 先生たちの労働環境を“変える”権限を持っているのは、教育委員会であることはわかる。でも、変える責任を負っているのは誰なのだろう?

 長時間労働を“責任”をもって止めるのは、教育委員会?校長?どっち?

 ひとつだけ、確かなのは取材に応じてくれた先生たちが、いずれも長時間労働に疲弊していたことだ。

 特に、20代で6年生の担任を任されている先生は、「12月は地獄で。いつ自分が倒れるか恐かった」とし、次のように話してくれた。

「恵まれた地域に赴任できるのは、ごく一部です。ほとんどの先生は、私と同じようにボロボロです。特に同年代の先生は(20代)は、苦しんでいます。中学校に行った友人は、週末に部活動を休みにすると保護者からクレームがくるので『休めない』と言っていました。

 私は6年生の担任なので、12月は地獄でした。

 提出する資料が多い上に、受験する子どももいる。保護者も過敏になっているので対応するのがいつも以上に大変でした。不安定な体調に苦しみながらの日々で、確実に身体のバランスが崩れているのですが、気がついたときにはコントロールが利かなくなっていました。

 食事を食べる時間もなく、気力も出なくて、自分でも恐かった。以前、河合さんに話を聞いてもらってから気分転換も必要だと痛感し、月に最低でも2回は趣味の茶道のお稽古に行くようにしていました。でも、12月は行けなかった……です。

 今はただただホッとしています。大きな問題が起きることもなく、2学期が終って本当に良かったです。

 学校の現場は孤独です。私は職員室には行きません。一日中、担任のクラスで過ごしています。長時間労働や保護者の対応の大変さ、部活動のことなどはニュースになりますけど、先生たちとの人間関係も大きな問題なんです。

 学校の行事の準備や休日の部活、防犯パトロールなど、すべて若手の仕事になります。前の校長のときは、まだ良かった。でも、今は校長は見てみないふりをしています。みんな自分のことを守りたいんです」

 彼女のように、今もギリギリのところで耐えている先生たちがいることを、国や教育委員会の人たちはわかっているのだろか? 校長先生でさえ、目を背けたがるって、どうなっているのだろう。

 企業はブラック企業とレッテルを張られるのを恐れるけど、学校にはそれがない。企業のトップは、電通の社長辞任にワナワナするけど、教育現場でビビるのは誰?

 調査結果やガイドラインを生かし、実効性を持たせるには責任の明確化が不可欠である。その上で検証する。お題目はもういい。今、この時間もギリギリにいる先生に目を向けてくれ。

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