文科省の辞書に「検証」という文字は存在しないのか

 大臣は先の会見で、
「教員の働き方を改革し、教員がその担うべき業務に専念できる環境整備を目指します!平成29年度予算案において、各教育委員会における業務改善の取り組みを加速するべく、「学校現場における業務改善加速プロジェクト」を始動するための予算を計上しました!」
と胸を張ったけど、いったい何回プロジェクトを立ち上げれば気が済むのだろう。

 毎度毎度、調査を繰り返し、ガイドラインを策定し、「あとは君たちでやってよ」と教育委員会に投げる。――文科省の辞書に「検証」という文字は存在しないのか。

 そういえば、東京都の公立中に通う長女の部活動がブラックすぎるとして、中学校と闘い改善させた父親に関する記事が話題になったが、「ブラック部活動」についてはずっと以前から社会的にも認識されていた。

 今から20年前の1997年。文部省(現文部科学省)は運動部活動をはじめ中学生・高校生のスポーツ活動の望ましい在り方について有識者会議を設置。全国の中学校100校、高等学校100校の生徒や保護者、教員など計約5万4000人を対象に調査を実施したうえで、「週に2日以上」「長期休業中はまとまった休養日を設置すること」など、中学校の部活動における休養日のガイドラインを提示しているのだ。

 つまり、部活動が先生の負担になっていることは20年前にわかっていたのに、まるで「今明らかになった」かのように取り沙汰されている状況は異常だ。

 しかも、件の父親によれば「スケジュールをつくっているのは外部指導者」で、現場の先生たちはその練習日程に合わせざるをえなかったそうだ。

 部活の指導を先生ではなく外部に任せる方針は、文科省の中央教育審議会が、進めている政策である。一昨年末には、教員以外が部活指導や引率をしやすくするための制度化を答申するなど、外部指導者の積極的な活用をすすめている。

 いったいこのチグハグさは何なのだろう?

 本当に誰が、教師たちの長時間労働を止めるのか?
 そもそも、その責任は誰にあるのだろうか?

 そこでこれまでインタビューに協力してくださった現場の先生たちに取材したところ、次のような回答があった。

・勤務時間は、基本的には市で決められている。
・出勤と退勤の時刻は学校により異なる
・給食、昼休みの時間が昼休憩となっているが、現実にはとれない
・在校時間は、常に規定を大幅にオーバーしている
・職員の勤務時間については、基本的には校長が管理している
・勤務管理は校長の仕事だが、実質的には管理されておらず、長時間労働は当たり前。唯一「管理者」としての機能が果たされるのは年休など、校長の許可が必要な場合のみ
・地域によって、業務負担の差が大きい
・地方自治体(教育委員会)が、国が決めた方針に積極的に取り組むか次第
・校長が力のある人だと、市との連携が上手くいく
・校長に対する保護者からの信頼が厚いと、保護者が部活動や防犯パトロールなどに協力してくれる
・都内のある公立学校では図工も家庭科も専科の先生がいて、うらやましいと思った
・以前の学校では、理科の支援員がいたので助かった。理科は授業の準備に時間がかかる

 う~む。これらをどう解釈すればいいのだろうか? 

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