生かされず、負担にしかならない文科省の調査

 大臣は「教員の業務負担の軽減を図ることは喫緊の課題であると認識をしている」と会見の冒頭で語っていたけど、本当にこれで先生たちの劣悪な職場環境は、改善されるのだろうか?

 「調査、調査、調査」って繰り返していたけど、それでまた現場の先生たちが“雑用”に追われることになるのではあるまいか。

 先生たちの8割以上が、「負担に感じている業務」に「国や教育委員会からの調査やアンケートへの対応」を挙げたことを、文科省の役人たちは忘れてしまったのか?

 詳しい内容は連載の過去記事(「先生も生徒も数値で“仕分け”」 超効率主義で朽ちる学校)をご覧いただくとして、2014年に文科省が行ったこの調査(「学校の総合マネジメント力の強化に関する調査研究」)は、初めて全国規模で先生たちの「具体的な負担」が明かされた貴重な資料である。

 その調査で、「国や教育委員会からの調査やアンケートへの対応」が、大きな負担であることが示された。まさにやぶへび。

 当時、文科省はこの笑うに笑えない結果に、
「平成20年以降、見直しに取り組んできているが、引き続き調査の見直しに取り組んでいく」
と回答していたけど、いったい何を、どう、見直したのか教えて欲しかった。

 っていうか、会見に出ている記者さんたちは誰ひとり、疑問を抱かなかったのだろうか。

 だいたい国は、2015年、「学校現場における業務改善のためのガイドライン~子供と向き合う時間の確保を目指して~」を策定していたわけで。その効果くらい質問できたはずだ。

 存在すら知らなかった?

 その可能性はある。

 大臣の会見から9日後、「小中教諭の7割、週60時間超勤務 医師や製造業上回る」との見出しが、朝日新聞の朝刊一面に掲載された(15日付朝刊)。

 連合総研が、全国の公立中学校の教師約4500人を対象に実施した調査の結果を紹介した記事だ。調査では、「最も負担に感じている仕事は?」との問いに、

・小学校の84%、中学校の82%が「保護者・地域からの要望や苦情への対応」
・小学校の83%、中学校の80%が「国や教育委員会からのアンケート」

と回答。

 さらに、

・小中学校教員の1日平均労働時間が約13時間
・小学校の73%、中学校の87%が週60時間以上の勤務
・小中ともに、週50時間未満はゼロ
・15%が朝7時前に出勤
・22%が夜9時以降に退勤
(すべて連合総研の調査結果)

と、その結果は2014年の調査と変化なし。文科省のガイドラインは、なにひとつ実っていなかった。

 これでは、うつ病などの精神疾患による教職員の休職が10年間改善しないのも、当たり前である。

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