20代の教職員、この10年で20人が自殺?

 しかも、20代の精神疾患による休職者は564人で、この10年の間に2倍近くに増加。NHKの夕方のニュース(12月23日)によれば、少なくとも20人が自殺していて(NHK調べ)、この事実を文部科学省は把握していないと報じていた。

 で、先日。松野博一文部科学大臣の定例記者会見で、NHKの記者が大臣に質問を投げかけた(映像はこちらからご覧になれます)。

記者:「NHKの調査で、この10年間に新人の先生が、採用から1年で46人が死亡退職され、そのうち半数近くが自殺だったことが明らかになった。それについて大臣の御所感を伺いたい。最悪のケースに至っているという実態を把握しているのか」

大臣:「死亡退職した人数は把握しているが、死亡の原因やその背景についての調査は行ってない。一方、教職員の過労死については『過労死等の防止のための対策に関する大綱』でも指摘をされており、厚生労働省と連携をし、過重労働の実態等について調査研究を行うことを検討している」

記者:「採用からわずか一年の死亡退職のうち自殺が半数近くいる事実については、どのように捉えられているのか?」

大臣:「今まで原因等の調査を行っていないので、まずは、調査からと考えている」

記者:「実態について調査を進めていくと?」

大臣:「厚生労働省と連携をして、その調査を進めるべく検討をしている」

 話が前後するが、この日の会見は「学校現場における業務の適正化に関する大臣メッセージ」として、次の3点が報告されている。

1.業務改善に集中的に取り組む「重点モデル地域」を20か所程度指定する

2.運動部活動に関する実態調査を実施し、適切な練習時間や休養日等を含めた総合的なガイドラインを策定する。それに先立ち本日(6日)、各都道府県教育委員会等に対し、休養日の適切な設定を求める通知を発出する

3.業務改善等に知見のある有識者や、教育委員会関係者等を「業務改善アドバイザー」として、教育委員会の求めに応じて派遣する

 記者の質問に対する回答なども加え、上記を補足しておくと……

・本日付け発出するのは、休養日を設けていない学校に適切に設定を求めるもので、具体的に何日というような規定はない。

・業務アドバイザーは、あくまでも教育委員会の要請があったときにのみ派遣。内容も教育委員会の希望にあわせる。

・業務アドバイザーは学校経営やマネジメントの知識を持っている専門家。または、すでに各教育委員会の指導に入っている人たちから選定する。

 ふむ。要するに大臣は、「国はがんばるけど、あくまでもやるのは教育委員会だよ。これまでだってそうだったでしょ?」と、明言した。ええ、そうです。これまでと一緒だ。

 私の記憶に間違いがなければ、文科省が具体的に教員のメンタルヘルス対策に乗り出したのは2013年。予防的取り組みと復職支援に関わる対応をまとめ、この年の10 月に発表した(教職員のメンタルヘルス対策について(中間まとめ) )。

 ただし、通知しただけで、何をどうするかは各教育委員会に任された。

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