一方、「スキルアップが必要」と回答した日本の労働者の割合は8割を超え、世界平均の7割より高かった。

 皮肉にも、この記事の下に「株価5年で10倍 74銘柄に急増」という見出しの記事があり、「特にネットを武器に業績を拡大した企業や、人材・省力化投資に関連する銘柄が目立つ」と書かれていたので、余計にイヤな気分になった。

 年明け早々、企業の景気の良さは方々から伝えられているけれど、“人”に関するニュースはお寒いものばかり。賃金の上昇は十分とは言えず、非正規の割合は増えるばかりだ。

 冒頭の記事でも「労働者一人当たりの生産性を高めることが不可欠になっている」と指摘されているし、その必然性は疑いの余地がないはずだ。なのに、最下位。「本気で生産性を上げる気なんてないのでは?」と暗澹たる気分になった。

 実際「一人当たりの教育訓練費」は減少傾向にあり、労働関係に関わる研究者たちは数年前から警鐘を鳴らし続けている。

 ところが一部の優良企業以外は、その声が全く届いていないのが現状である。

景気が回復しても人材への投資が増えない

 これまた日経新聞が昨年の12月17日付の記事に、その理由も含め丁寧にまとめているので、ちょっとばかり長いが併せて紹介する。

 企業が毎月支出する「従業員1人当たりの教育訓練費」は1112円(2016年)で、ピークの1991年(1670円)と比較すると500円も少ない。また、従業員の雇用で生じる現金給与以外の費用(労働費用)に占める割合は1.4%と、最低だった2011年と同水準だった(厚生労働省調べ)。

出所:厚生労働省「労働者福祉施設制度等調査報告」「賃金労働時間制度等総合調査報告」「就労条件総合調査報告」などを基に本誌作成。労働費用は現金給与を除く

 つまり、これまでの「景気が良くなれば人材に投資する」という傾向が、見事に崩壊しているのである。

 記事では、教育訓練費が激減している理由を3つにまとめている。

●非正規雇用の増加
・正社員に計画的な職場内訓練(OJT)を行う事業所は60%。非正規は30%。
・社外研修などの「OFF-JT(オフJT)」は正社員74%、非正規は37%。

●社会保障負担の増加
・厚生年金保険料や健康保険料などの法定福利費は1人当たりの支出で月8万6622円(16年度)。7年連続で増加し、過去最高を更新。
・社会保障費用が総人件費に占める割合は04年の11%に対し、14%近くに上昇(ニッセイ基礎研究所)。
・正社員にかかる1時間当たりの人件費は非正規の2.4倍に達し、非正規増加の一因になっている。

●省力化投資(AIやロボットの導入)を優先
・情報化投資(IT投資)は計画ベースで5582億円。前年度から28%増。
・優先度の高い投資は、製造業の首位は「国内有形資産」で58%、2位は「研究開発」の44%。昨年度の同調査で首位だった「人材育成、人的投資」は3位(42%)に後退。

 ……どれもこれも「なるほどね」といった分析であるとともに、「人は単なるコストでしかない」という企業側の本音を改めて痛感させられる数字である。