「結局3年で終わるなら、がんばっても仕方がない」

 「私、正社員じゃなくてもいいんですよ。契約3年更新の繰り返しでもいいんです」

 こう切り出したのは、現在、某大手企業の関連会社で契約社員として働く、33歳の女性である。

 「私、最初先生を目指していたんです。でも、非常勤しかなくて、短いときには半年、長くても1年で学校を転々としてきました。それって結構、精神的にも負担が大きくて。結局、先生をあきらめて一般企業に就職したんです。といっても契約です。3年契約です。そのときの上司がすごくいい人で、そのまま正社員になれるように上に掛け合ってくれたんですけどダメでした。それで今の会社を紹介してくれたんです。仕事はものすごくやりがいがあります。職場の雰囲気もいいですよ。でも、今年で契約切れです」

 「契約延長はないんですか?」(河合)

 「ないですね。もう私の次の人に、内定出してますから。なし、です。実は昨年、正社員化されるって噂が飛び交っていたので、少し期待していました。ちょうどその頃、後輩の指導係を任されていたんですね。なので、『契約にやらせるってことは、やっぱり正社員になれるんだ!』と、都合よく解釈していました。

 でも、それは全く関係なかった。この時期になっても何も言われないってことは、3月終了が確定です。下手に期待した自分が情けなくて。慌てて就活しています」

 「やっぱり正社員がいいですよね?」(河合)

 「う~ん。もちろん正社員になれれば、いいかなぁって思いますけど、それはね、ムリだなって思いますよ。一旦、契約社員に任された仕事やポジションは、永遠に契約社員の仕事になる。今の上司は、『契約社員で十分回るって、上は味をしめた』って嘆いてました。

 なので正社員へのこだわりは、最近なくなりました。ただ、3年は短い。やっと自分が納得できる仕事ができるようになって、これからってときに就活です。契約でもいい、1年ごとの更新でもいい、とにかくもうちょっと腰を落ち着けて仕事をさせて欲しい。

 自分さえがんばれば更新してもらえるのであれば、私、いくらでもがんばります。それなら自分次第だって割り切れる。でも、今は、どんなにがんばっても3年以上はダメ。自分の中が矛盾だらけなんです」

 「仕事も、職場も、好きだから一所懸命やります。でも、結局どんなにがんばっても、3年で終わるんなら、がんばっても仕方がないじゃんって思う自分もいて。おまけに、後輩の指導ですよ。私、もうすぐいなくなるんですよ。ちっとも腑に落ちない。永遠にこんな生活が続くのかと思うと……。不安を通り越して、正直、イヤになってきます」

 「もし、今までのキャリアとは関係ない職種でも、正社員の募集があれば、そちらに募集したいと思いますか?」(河合)

 「……わからない、というのが正直なところです。ただ、このままだと結婚しても、子どもは持てない……。なんか、しんどいですね。ホント、しんどい」

 以上が彼女とのやりとりである。