みなさまごきげんよう。
フェルディナント・ヤマグチです。
本日も明るく楽しくヨタ話から参りましょう。
「日本一エロいオバサン」としてその名も高い岩井志麻子さん。高須クリニックの高須院長との共著が発売5日後に絶版となり物議を醸した西原理恵子さん。お二人の合同誕生会が開かれたので顔を出してきました。
サイバラ先生原画の素敵なケーキ。こちらは完全な手描きですが、最近は写真を取り込んでケーキ上に印刷する”ピクトケーキ”なるものも有るそうです。
志麻子センセは最近タレント業が忙しく、何とホリプロに所属しておられるのだとか。「テレビには文化人枠で呼ばれるのでギャラが安い」と嘆いておられました。ヘタな芸人より何倍もハジケた芸風をお持ちなのに。何ともったいない。
同年齢の岩井志麻子さん、西原理恵子さん、中瀬ゆかりさんからなる「熟女キャッツアイ」の面々と。いやもう濃すぎです。帰宅したら謎の高熱にうなされました。
こちらもまた別の意味で濃いお二人と代々木公園で早朝ラン。
来年もBMWのご厚意により東京マラソンに出場するんです。そろそろちゃんと走らないとヤバいんです。
世界を股にかけるお二人と。彼女たち、年間で地球を10周位はしているのではないでしょうか。ランも速いし酒も強いし、実に男らしい。やはり帰宅したら発熱してしまいました。
代々木公園でのランが終わり、駐車していた通りに戻ったら、ちょうどパーキングチケットの集金をしている最中でした。機械の中を覗けることなんてめったに無いですからね。ちょっと話を聞いてみました。
「ここら界隈では、この装置が一番の売上ですね。大きなイベントなんかが有ると、1日に40回くらいの駐車があります」とのこと。なるほど。チケット式は1台で複数箇所の管理ができるから、一枠一台のパーキングメーターより合理的なんですな。勉強になりました。枠内に停めていても、お金を入れてシールを貼らないと駐車違反になっちゃいますからね。ケチらずキチンと払いましょう。
パーキングチケット券売機の内側。なるほどこうなっていたのか。
身内の忘年会で堀江貴文氏と。当原稿があるため二次会を辞退したら、「あれくらいの量なら2時間位でササッと書けるでしょう」と。冗談じゃない。その何倍もかけて書いていますぜ。ライター立てて喋るだけの人とはワケが違うのよ、と言ったら、彼も「冗談じゃない!」と。彼の有料メルマガは、ゴーストを立てずに全て自分で書いているのだそうです。おみそれいたしました。
さてさて、軽くヨタを飛ばしたところで、そろそろ本編へと参りましょう。
久し振りの日産車、「プロパイロット」なる「同一車線自動運転技術」を搭載した、5代目セレナの登場であります。
トヨタのノアヴォク(ノア・ヴォクシー)、ホンダのステップワゴン、そして日産のセレナ。
激戦区のミドルサイズミニバンは、ともかく市場規模が大きいので、各社とも開発に関しては大変な気合の入れようだ。当然競争は熾烈で、三つ巴の激しい鍔迫り合いが繰り広げられている。そしてその結果、どれも似たり寄ったりのクルマに仕上がっているのが実情だ。
車内で取れる電源の数とか、コンビニ袋がかけられるフックの数とか、ティッシュの箱がそのまま入れられるとか、本来のクルマ作りとは関係のない、ギミック競争に走っているきらいも有る。
そんな中、「ちょっと待った!」と一つ抜きん出たのが日産だ。
なんと低価格のミニバンに、自動運転技術を導入したのだ。
技術の日産が「自動運転」と言っているのだ、永ちゃんはCMで手放し運転をしながら「やっちゃえ日産」と言っているのだ。いやがうえにも期待は膨らんでくる。
プロパイロットとはいかなる技術なのか。テストコースではない「本当の道」で、どの程度通用するものなのか。試乗車両を1週間お借りして、徹底的に乗り倒して来た。
スライドドアの下で、なぜか足を振り続けるフジノ氏
「同一車線自動運転技術」が搭載された日産のミニバン セレナ。話題のノートe-POWERとともに、日産の売上に大きく貢献する孝行息子だ。
今回は田町の駅前でADフジノ氏から車両を受け取った。
ADフジノ:新しいセレナの一番の特徴は、何と言ってもプロパイロットです。ですが初めに言っときます。これは自動運転じゃありませんからね。あくまで運転の“支援”です。調子に乗ってスマホやりながら手放し運転なんか絶対にしないように。
フジノ氏は、開口一番「これは自動運転ではない」とハッキリ言い切った。
F:え、でも日産のカタログには“同一車線自動運転技術”と明記してありますよ。自動運転という言葉が出ているじゃないですか。永ちゃんだってCMで手放し運転しているし……。
フジノ:あのCMはセレナではなく、実験用の別のクルマです。日産の中ではもちろん更に進化した、もっと高いレベルの自動運転ができるクルマも既に出来上がっているという話です。
ただそれを今の段階で市販していいものかどうか。道交法との兼ね合いとか、万一の際の保険の問題とか、クリアにしなければいけない問題がたくさんあるんです。“現状ではこのくらいの機能で売りましょう”、というのが日産の判断だと思います。
「本当はもっとできるけど、諸事情を鑑みて、今はこの程度で……」というところだろうか。
フジノ:それからこのバックドアです。大きくガバッと開くだけではなく、ガラス周りの部分だけが、別にパカっと開く。買い物の時にちょっとした荷物を入れるときなど、いちいち大きく開けなくてもいいので便利です。そしてこの、オートスライドドア。このように足をドアの下に入れると、センサーがピピッと感知して後部座席用のスライドドアが自動で開く。これがまたなかなか便利でしてね……あれ……?
フジノ氏は右側のスライドドアの下で、何度も足を振っている。
F:開かないね。ピピッとしないじゃん。
フジノ:……おかしいですね……。横浜で受け取った時には、確かに自動で開いたんですよ……あれ、あれ?
F:どしたホラ。壊れてるのか?(笑)
フジノ:いや、確かにさっきはですね……
ハンズフリーオートスライドドアが機能せず、焦りまくるフジノ氏。
後で調べたところ、エンジンが停止し、ドアもロックされた状態の時にのみ機能する仕組みであることが判明した。確かにエンジンかけっぱなしで買い物には行きませんからね。
視界極めて良好!も、「あれ?この妙な感覚は何だ」
キーを受け取り、プロパイロットの操作方法を習い、早速走りに出かけた。
車に乗った時の第一印象は、「ともかく視界が良い」ということだ。
インパネの位置が思い切り低く抑えられている。だから前方が下の方までよく見える。視界確保のために二股に別れ、真ん中にガラスが嵌め込まれたAピラーは、あまりの細さに些か頼りなく見えるほどだ。
広大な視界。横断歩道の有る交差点など、非常に安心して運転できる。ミニバンはこうでなければいけない。
さらに視覚的効果を狙い、二本の柱の内側の方は黒く塗られている。これがまた効いている。フロントドアの窓もグワっと大きい。昨今流行の、窓を狭くして、乗員の「包まれ感」を演出する、なんてことはファミリー向けのミニバンには不要ということだろう。ともかくこの視界は素晴らしい。
明るい時に運転席から右側を見るとこうなる。視界良好。
運転席から助手席側を見てみよう。やはり視界が良い。左折の時に直接の視界がいい事は何にも勝る。
助手席側の視界。サイドウィンドウの下端の位置がガッと低く抑えられている。
芝公園から高速に乗ってみる。と、あれれれれ。この妙な感覚は何だ。
例の「エンジンだけがブンブン回り、車速がそれに追い付かない」、CVT特有の悪い癖がモロに出ているのだ。最近のCVTはかなり賢く躾けられているのに、これはアカン。これでは昔に逆戻りだ。
古い感覚のトランスミッションに比べ、足回りは今風で、非常にしっかりとしている。背の高いミニバンであるのに、高速でのコーナリングも恐怖感無くしっかりと踏ん張って曲がっていく。
(先日トヨタ86GRMNのチーフエンジニア野々村氏に教わった通り)スローイン・ファストアウトの基本を守る。コーナー出口でアクセルを強めに踏み込むと、エンジンとギアが「ギューン」と色気のない音で叫び出す。86やロードスター、或いはs660等のスポーツカー開発の取材を通して学んだことだが、「音」はドライブフィールに大きな影響を与える。せっかく力強い乗り心地が、このショボい音で相殺されてしまう感じがする。
もちろん燃費のことを考えて、ベストのセッティングをしているのだろうが、これはとても残念だ。
足回りは非常に優れていて、小型ミニバンなのに高速走行でも安心して気持ちよく飛ばせる。その一方でCVTの味付けはイマイチだ。
「何だこれ、完全に自動運転じゃないか」と思ったら……
さてさて、当車最大のウリであるプロパイロットを試してみよう。
ステアリングホイール右側のボタンをポンポンと二つ押して、プロパイをセットする、さらに左側のスイッチで操舵補助も機能させる。“同一車線自動運転技術”とは如何程のものなのか。
前車追従機能。これはまあ普通だ。他の会社の他のクルマと変わらない、渋滞の最後尾となり、停車する際の“ブレーキの掛け方”は、ややカックンブレーキ気味である。もう少し丁寧にできないものだろうか、下手っぴなオバサンの運転のようだ。
そして肝心のハンドル支援。カメラで白線を視認し、車線の中央を維持しながら自動で操舵してくれる機能だ。ピッと音が鳴り、ハンドルの形をした緑色のサインが点灯する。小刻みにハンドルが動き、首都高の緩いカーブに併せて曲がっていく。
しかもアクセル、ブレーキ操作もお任せだ。何だこれ、完全に自動運転じゃないか。日産は何を遠慮しているのだ。堂々と「吾こそは自動運転なり」と名乗りを上げれば良いのだ……と思いながら走っていた。
条件が良ければ、ご覧の通り完全な手放し運転も(5秒間だけ)可能だ。手放し状態が続くと警告音が鳴り、それでもハンドルに手を戻さないと、プロパイは強制終了となる。
が、しかし。この自動運転、カーブのRがきつくなると、突如として仕事を放り投げてしまうのだ。画面に「ハンドル支援は一時的に作動できません」との職場放棄宣言が発せられ、後はヨロシクとばかりに自動操舵は解除されてしまう。
安全のために、ステアリングから手を離すことは出来ないから(何秒か手放しすると警告音が鳴り、それでもハンドルに手を戻さないとプロパイは強制解除されてしまう)、手放し運転でそのまま壁にズドーン!という事にはならないが、それにしてもプロパイに頼り切って、ハンドルに手を置くだけでボサッと運転していると、相当危険だ。
フジノ氏が車両引き渡しの時に「自動運転ではありませんから」「運転の支援ですから」とシツコク言ったのは、こういうことだったのだ。
プロパイロットとはつまり、「カーブの少ない高速道路で、ノンビリ流す時、或いはストップ&ゴーの渋滞時にのみ使えるプチ自動運転」ということになろうか。
首都高3号線から中央環状線に入る谷町ジャンクション。この程度のカーブでもプロパイは“職場放棄”をしてしまう。
また高速の右車線を走っている時は妙に右寄りに、左車線を走っている時は妙に左寄りに、要するにいつも壁ギリギリを走る癖があることも気になる点だ。
多彩なシートレイアウト、これは大いに結構。リアゲートが大きく小さく二段階に開くデュアルバックドア。確かにこれも便利だ。
だが最大のウリであるプロパイロットに過大な期待は禁物である。一般道では殆ど使えない。首都高のようなカーブのキツい自動車専用道では、途中で何度もサボタージュを始めてしまう。東名のような長く緩く混雑する高速道路で、家族を乗せて里帰り、などというシーンでこそ真価を発揮するクルマなのだと思う。
プロパイ機能はオプションでざっくり20万円。
業界では衝撃の激安価格と言われているが、一般ユーザーからしたらどうなのだろう。車両価格との比較で考えれば、結構な割合になる。私は別に付けなくても良いんじゃないの、と思う。
セレナの◯と×を
それでは最後にセレナの◯と×を。
セレナの◯
1:しっかりした足回り
実は5代目セレナの一番のチャームポイントは安定の足回りだ。ミニバンでここまでしっかり走ってくれれば文句なし。騙されたと思って試乗して下さい(マルちゃん正麺調)。きっと驚くと思います。
2:優れた視界
これは本当に良い。実はこのクルマに乗る直前、鼻の長いスポーツカーに試乗していたのだが、そのギャップも有ってか、実に安心して運転できたものだ。家族や友人を乗せるミニバンかくあるべし。
3:二段階に開くバックドア
一部の輸入車にガラスだけが開くクルマも有ったが、国産ミニバンはどうして今までやらなかったのだろう。超便利。お買い物に出る奥様方は更に便利に感じるだろう。後ろを開けた瞬間に、バラバラこぼれてしまうような荷物を積んでいるときにも良い。
便利な二段開きのバックドア。ただし、自動開閉機能は付いていない。
こちらは全開時の写真。二重だからそれなりに重い。それでいて自動開閉機能ナシ。女性には少し厳しいかもしれない。
セレナの×
1:イマイチ信用できないプロパイロット
うーん。君のことはイマイチ信用出来ないんだよね。肝心な時に仕事を放り投げるなんて、社会人としてどうかと思うよ。え?予め言ってあるでしょう、だって?いやいや会社ってそういう所じゃないからさ……。何か話の噛み合わない新入社員に説教しているみたいで辛いです。
2:古式ゆかしいCVT
足回りが良いだけに、CVTの空転感が際立ってしまう。これは単に制御の問題なのだろうから、もう少しリニアに味付けを変えて欲しい。
3:気まぐれなオートスライドドア
エンジンを切っていても、ドアがロックされていても、反応しないことが何回かありました。コンビニとかでクルマの下に足を入れてブラブラさせる姿って、傍から見たら激しくバカっぽいと思います。
来週はセレナのユーザーインタビューです。
3人のお子さんがいるアスリート夫婦。久々に写真掲載許可も頂いたので、イヤというほど写真を載せる予定です。お楽しみに!
“やっちゃえるか?”日産
読者のみなさんこんにちは。編集担当のY田です。
今回フェルさんが試乗したセレナ、日本自動車研究者・ジャーナリスト会議(RJC)による2017年次の「RJCカーオブザイヤー」を受賞しました。プロパイロットなどを300万円を切る量産車に搭載した点などが評価されたとのこと。プロパイロットは、RJCテクノロジーオブザイヤーを受賞しており、セレナは“W受賞”ということになります。また、先週金曜日に発表された2016-17日本カー・オブ・ザ・イヤーでも、プロパイの搭載などが評価され、セレナはイノベーション部門賞を獲得しました。
ただ、ADフジノさんも言うように、プロパイはあくまでも「自動運転“支援”」の機能。安全につながる頼もしい技術ではありますが、フェルさんも本文で書いていたように"完全お任せ"機能ではありませんので、購入を検討される方はくれぐれも誤解されませんように。
RJCを受賞した日産自動車、最近、「やっちゃえ」感が漂っています。10月の世界生産台数は前年同月比7.8%増の51万8963台で、単月生産台数としては過去最高を記録しました。セレナやノートの牽引による国内生産の伸びが大きく貢献したとのこと。また、11月の新車販売台数では、 e-POWERで話題のノートがプリウスやN-BOXを抑えてトップです。
そんな日産ですが、先月末、最大の系列部品メーカー「カルソニックカンセイ」の売却を発表しました(関連記事「ゴーン社長「資金をEV、自動運転に」)。同社が手掛ける熱交換器や排気部品は主にガソリン車が対象。一方、日産は、皆さんもご存じのように電気自動車(EV)に注力しています。日産側には、売却で得た資金をEV、自動運転技術、コネクテッドカーなどの開発に使えるメリットが、カルソニック側には、系列から外れてニュートラルな立ち位置で事業拡大を図れる期待があります。
傘下の部品メーカーと決別する道を選んだ日産自動車。グループ各社と協力しながら将来の技術開発に取り組むトヨタ自動車とは対照的に映ります。トヨタが12月に立ち上げたEV開発に特化した社内ベンチャーは、トヨタに加え、デンソー、アイシン精機、豊田自動織機のグループ3社がそれぞれ1人ずつ人材を出しています(関連記事「トヨタ初、「4人だけ組織」の狙い」)。
EVの開発では水平分業が進んでおり、独BMWが韓国サムスン電子からバッテリーの提供を受けるなど、異業種との提携も進みつつあります。系列会社との決別で、日産が次世代技術の開発競争で優位に立てるのか。
「“やっちゃえるか?”日産」
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