別にスポーツカーじゃなくてもいいでしょう

F:LCならスポーツカーだからまだ分かりますが、Sクラスとなるともうメチャクチャですね。

:値段として1000万円オーバーのクルマを買うのに、別にスポーツカーじゃなくてもいいでしょう。ねえあなた、というふうにやっぱりなってしまうんですね。

F:奥さんが。

マンちゃん:ポルシェが欲しいか、ベンツがいいかという考え方なんでしょうね、きっと。

F:キーワードか。「ポルシェ」や「ベンツ」がキーワードになっているんですね。ステータスとしての。

:そうなんです。ですからポルシェは、911は、決して「上がり」のクルマではないということを、これからどんどんアピールしていきたいんです。

F:ポルシェは上がりのクルマじゃない。

:我々実は911のキャンペーンを打つときに、インナーのタグラインとしてコミュニケーション開発もしているんですね。

F:これはとても興味深いな。「ポルシェは上がりのクルマじゃない」。この言葉を使っても大丈夫ですか?

:大丈夫です。使ってください(笑)。

F:上がりじゃないとは言え、あまり若い兄ちゃんに平気な顔で乗られても困るわけじゃないですか。ポルシェとしては。

:そんなことないです。まったく困りません。まだちょっと、そういう風に思われているんだなぁ……。フェルさんにはそこをキチンとご理解いただきたいのですが、ポルシェは最後に行き着くゴールにあるクルマ。究極の、憧れの911というのではないんですね。頑張った人が、これからも頑張り続けるために911を買ってもらっていいじゃないか。これが今の我々の考え方です。例えば本当に、ポルシェなんてローンを組んで買うものじゃないって、今まではそういうパーセプションもあったんですけれども、我々としては、社の方針として、「とんでもございません」と。

F:はー。

:頑張ってローンを組んで、夢のクルマを早く手に入れたと。もう10年かかって返します、というお客さまがいてもいいじゃないかと。

F:ポルシェは長期ローンでもOKと。

:もちろん大歓迎です。残価設定型もやっていますし、実際にいまローンの比率も増えています。すごく増えているんです。

F:いや、本当に意外です。若い兄ちゃんが多少ムリして長いローンを組んで買っても良いんだ。ポルシェとしては迷惑じゃないんですね。

:迷惑だなんて、とんでもありません。歓迎します。大歓迎です。若い人にこの楽しさをできるだけ早く知っていただいて、長く乗っていただければ嬉しいです。

F:ポルシェはいつからそうなったのですか?前はやはり明確にエクスクルーシブであることをウリにしていましたよね。

:今のトップになってからですね。(ポルシェジャパン)社長の七五三木(しめぎ)敏幸の方針と、私たちマーケティングと、ドイツの本社の考えもそうです。高齢化というのは、グローバルで共通の課題です。実際にマーケティング的なメッセージでいうと、「若い方に楽しい、最高のドライビング体験を」というところがありますし、ビジネス上の課題として、確実に年齢層を下げて、ライフサイクル、カスタマー・ライフタイム・バリューを上げたいというのがあるんですね。


 天下のポルシェも、高齢化社会へ向けてシフトを組んでいるのだ。それにしても、マーケティングの内情を、ここまで開示して下さるとは。インポーターインタビューは、「クルマを分かっていない」と不評な事が多いのだが、山崎さんは腹が座っていて実に面白い。次号も「へー」という話が満載です。お楽しみに!