みなさまごきげんよう。
フェルディナント・ヤマグチでございます。
今週も明るく楽しくヨタ話からまいりましょう。
初めにお詫びと訂正とお礼をひとつ。前号で書いた「紅白歌合戦で、山口百恵さんが“真っ赤なクルマ”と歌わされた」という記述に関して、読者の方から以下のようなご指摘をいただきました。
「誤解されてる人も多いようですが、山口百恵さんは紅白歌合戦で『真っ赤なポルシェ』と歌っていますよ。NHKの放送局で当時の映像が見られますので、気になる方は確かめて見てください。」
確認してみると、ご指摘の通り、ちゃんと「真っ赤なポルシェ」と歌っています。「真っ赤なクルマ」と歌詞を変えて歌わされていたのは、それよりも以前のNHKなどの別番組だったようです。お恥ずかしい。認識不足でした。ご指摘いただいた方、ありがとうございました。
超久しぶりにマツダの皆様と一杯やって参りました。当初は前広報本部長の工藤(秀俊)さんと、「たまには一杯行きましょう」的な話だったのですが、そこに研究開発担当の専務執行役員の藤原(清志)大明神と現広報本部長の小島(岳二)さんがジョインされることになり、恐れ多くもマツダ大幹部のみなさまと「厳かなる会食」と相成った訳です。小心者の私は、緊張のあまりロクに話すこともできず、また食事も喉を通りませんで、帰りに駅でラーメンを食べて帰るという体たらくでございました。
藤原さんの登場となれば、当然タダで済むわけはありません。大明神ファンのみなさま、ご期待下さい。新春初笑い特別企画として、ドカンとカマして頂きます。
第33回那覇マラソンに出場してまいりました。ノー練で挑んだフルマラソン。それでも4時間は楽勝で切れるだろうとタカをくくっておりましたら、現実は甘くありませんでした。結果は屈辱の4時間13分。こんなことで2月に控えた東京マラソンは大丈夫なのでしょうか……。
新たにゲットした最新のSUUNTO。デビュー戦で屈辱の記録を刻むこととなりました。光学センサーで手首から心拍を測れるので、あの不快な乳バンドが必要ありません。これは快適。しかし距離が600メートルもズレとるなぁ……。GPS精度は最高値に設定してあるのですが、これはどうしたことでしょう。
那覇マラソンは沿道からの応援が素晴らしい。文字通り、街を挙げての大イベント。激坂では地獄を見ましたが、子供たちが手渡してくれる水や補給食に何度救われたことか。オジサン感激しましたぞ。
今回はヤラセではなくマジで死にました。足がピクピク痙攣しております。
ゴール会場でSUBARUの宣伝部長小島さんに邂逅。「ちょうどSUBARUの記事を書いたばかりなんですよ」と話すと、「あ、そうなんですか」と。宣伝と広報は違うのね(笑)。
岩井志麻子さんの誕生会にお招きいただいたので遊びに行ってきました。最近は作家業よりも「異色熟女タレント」としてのポジションを固めつつある彼女ですが、聞くと「ワシの本業はあくまで作家じゃ」とのこと。次作に期待しましょう。
銀座の怪しいバーで。志麻子さんを核とする怪しい人々が集まりました。
最後に宣伝をひとつ。拙著「フェル先生のさわやか人生相談」の出版を記念して、BarBOSSAの林さんと一緒にトークイベントを開催します。ぜひ遊びに来てください。
"クリスマス直前、恋の悩みはいまのうち! 紳士淑女のお悩みを、ばっさりスッキリ解決します!"
出演:フェルディナント・ヤマグチ(「フェル先生のさわやか人生相談」)
林 伸次(「ワイングラスのむこう側」)
日程:12月17日(日)
時間:13:30〜15:30(13:15開場)
料金:3,000円 (ワイン一杯+ピンチョスつき)
開場:N's Lounge(東京都渋谷区代官山町14-9 1F)
チケットのお申込みはコチラからどうぞ!
それではボチボチ本編へと参りましょう。ポルシェのインポーターインタビューの1回目。お答えいただくのは、ポルシェジャパンの執行役員マーケティング部長の山崎香織氏、マーケティング部 プロダクト&プライシング マネージャーのアレキサンダー・クワース氏である。
ライバルは意外!?な日本メーカー
フェルディナント(以下、F):はじめまして。フェルディナント・ヤマグチと申します。今日はよろしく願いします。
山崎(以下、山):クワース(以下、ク):よろしくお願いします。
F:クワースさんはドイツの方ですか?
ク:そうです。ドレスデンの出身です。ポルシェの前はアウディで働いていました。
クワース氏はとても流暢に日本語を話す。こちらが拙い英語を話さなくて済むのでとても助かる。
F:山崎さん、ポルシェはお長いのですか?
山:私はちょうど3年です。ずっとクルマなんですが、もともとは国産にいました。T社とN社で、長く海外市場のマーケティングと営業をしていたんです。ちょっと異色な経歴です。
F:なるほど。内から外に売る側から、今度は外から内に売る側に。
山:そうですね、逆の立場になりました。本社と子会社も逆転していますし。
F:なるほど。
山崎さんはトヨタ自動車や日産自動車で海外関連の担当が長く、クワース氏はポルシェに移る前はアウディで仕事をされていた。ご両人とも根っからのクルマ屋さんで、アパレルやブランド販売から転職してきた、外資を渡り歩くいわゆる「マーケティング屋さん」とはひと味もふた味も違う。
F:はじめにポルシェという会社が、日本のプレミアムスポーツカーの市場をどのようにご覧になっているかを教えてください。例えば競合はどこになるのですか?やはりフェラーリとかランボルギーニを意識していらっしゃる?
山:日本では今、他社さんからたくさんの新型が出ています。いまフェルディナントさんがおっしゃったクルマも、もちろん我々がいわゆる競合車として定義しているセグメントです。でもそれだけではなく、例えば最近ではLCにも注目しています。
F:LC?レクサスのですか?LCはポルシェにとってライバル足り得るのですか?そもそもポルシェを買う人でLCを比較対象にする人なんているのかなぁ……?
ク:比較されます。LCは明確なライバルです。価格帯も1000万円を超えていますので、911と比較をされるんです。
F:へー。驚いたな。
山:レクサスさんに関しては、実は911だけではなく、いろいろなところでバッティングしています。SUVがそうですし。パナメーラとも比較されます。
F:レクサスのSUVというとRX。これがカイエンやマカンと比較され、パナメーラだとLSやGSが比較される。ひゃー。驚いた。びっくりです。911だけでなく、他の車種でもポルシェはレクサスを意識している。
山:はい。意識しています。
これを聞いたらレクサスの人は喜びますよ
F:これを聞いたらレクサスの人が喜びますよ、きっと。私はポルシェのライバルは海外勢ばかりで、国産車は眼中にないのだとばかり思っていました。
山:特に日本では、女性の声が購買に大きく影響されますので、「レクサスの販売店に行くと、タダで洗車してくれるじゃない」とか、そういうことが結構効くんです(苦笑)。
F:そっちですか(笑)。
山:あとは「国産車」という漠然とした安心感。それからポルシェに乗っていると、どこかハデだと思われてしまったりと……これを払拭していくのは私達のチャレンジでもあるのですが。
F:「あの人、ポルシェなんかに乗っちゃって……」という批判の目。これは確かにありますよね。会社勤めの人だとちょっと辛いかもしれません。
マンちゃん:フェルさん前は911に乗っていたじゃないですか。会社勤めなのに(笑)。
F:うん。だから反省してその後メルセデス・ベンツのSLに乗り換えた(笑)。
山:911からSLに?!それはちょっと……どういうことなのでしょう……。
F:ちょっと込み入った事情がありまして……。と、冗談はともかく、日本でポルシェを買う人は、レクサスと比較検討するんですね。しかも全てのセグメントで。
山:はい。やっぱりレクサスに乗っているとお利口さんに見えますし。
F:前にRXのオーナーインタビューで、「お葬式にも堂々と乗っていけるから」と言っていたものね。あの方は確かカイエンからの乗り換えだった。あれは極めて特殊な例かと思っていたのだけど、実は典型例だったんだ。
山:ポルシェにはどうしても、きらびやかな、悪くいうと派手なイメージというのがあるので。
F:でもそれはとても大切なイメージですよね。きらびやかさ、華やかさというのは。ポルシェに乗るのは素晴らしく特別なことで、ある意味頑張った「証」でもある訳で。
山:どちらかというと今までは「頑張って、ゴールでポルシェを」。というイメージがありました。911が最後のクルマ。「いつかはクラウン」じゃないですけれど、「いつかは911」みたいなパーセプションがあったのを、我々のチャレンジとしては変えていきたいんです。
F:なるほど。「いつかは911」にはしたくないと。
山:「いつかは911」ではなく、「今から911」「今からポルシェ」に変えていきたいんです。価格だけで見れば、同じような値段のクルマを買われていらっしゃる方もたくさんいらっしゃるので。
F:いま一番安い911が1200万円くらいですね。
山:はい。そうすると、価格的にLCと本当にバッティングしますし、例えばメルセデスさんだとSクラスが買えますとか、そういう話になるんです。全然ボディータイプは違いますが、実際の話、営業の現場ではSクラスと911、どっちにしようか迷っている、というお客様がいらっしゃるのです。
別にスポーツカーじゃなくてもいいでしょう
F:LCならスポーツカーだからまだ分かりますが、Sクラスとなるともうメチャクチャですね。
山:値段として1000万円オーバーのクルマを買うのに、別にスポーツカーじゃなくてもいいでしょう。ねえあなた、というふうにやっぱりなってしまうんですね。
F:奥さんが。
マンちゃん:ポルシェが欲しいか、ベンツがいいかという考え方なんでしょうね、きっと。
F:キーワードか。「ポルシェ」や「ベンツ」がキーワードになっているんですね。ステータスとしての。
山:そうなんです。ですからポルシェは、911は、決して「上がり」のクルマではないということを、これからどんどんアピールしていきたいんです。
F:ポルシェは上がりのクルマじゃない。
山:我々実は911のキャンペーンを打つときに、インナーのタグラインとしてコミュニケーション開発もしているんですね。
F:これはとても興味深いな。「ポルシェは上がりのクルマじゃない」。この言葉を使っても大丈夫ですか?
山:大丈夫です。使ってください(笑)。
F:上がりじゃないとは言え、あまり若い兄ちゃんに平気な顔で乗られても困るわけじゃないですか。ポルシェとしては。
山:そんなことないです。まったく困りません。まだちょっと、そういう風に思われているんだなぁ……。フェルさんにはそこをキチンとご理解いただきたいのですが、ポルシェは最後に行き着くゴールにあるクルマ。究極の、憧れの911というのではないんですね。頑張った人が、これからも頑張り続けるために911を買ってもらっていいじゃないか。これが今の我々の考え方です。例えば本当に、ポルシェなんてローンを組んで買うものじゃないって、今まではそういうパーセプションもあったんですけれども、我々としては、社の方針として、「とんでもございません」と。
F:はー。
山:頑張ってローンを組んで、夢のクルマを早く手に入れたと。もう10年かかって返します、というお客さまがいてもいいじゃないかと。
F:ポルシェは長期ローンでもOKと。
山:もちろん大歓迎です。残価設定型もやっていますし、実際にいまローンの比率も増えています。すごく増えているんです。
F:いや、本当に意外です。若い兄ちゃんが多少ムリして長いローンを組んで買っても良いんだ。ポルシェとしては迷惑じゃないんですね。
山:迷惑だなんて、とんでもありません。歓迎します。大歓迎です。若い人にこの楽しさをできるだけ早く知っていただいて、長く乗っていただければ嬉しいです。
F:ポルシェはいつからそうなったのですか?前はやはり明確にエクスクルーシブであることをウリにしていましたよね。
山:今のトップになってからですね。(ポルシェジャパン)社長の七五三木(しめぎ)敏幸の方針と、私たちマーケティングと、ドイツの本社の考えもそうです。高齢化というのは、グローバルで共通の課題です。実際にマーケティング的なメッセージでいうと、「若い方に楽しい、最高のドライビング体験を」というところがありますし、ビジネス上の課題として、確実に年齢層を下げて、ライフサイクル、カスタマー・ライフタイム・バリューを上げたいというのがあるんですね。
天下のポルシェも、高齢化社会へ向けてシフトを組んでいるのだ。それにしても、マーケティングの内情を、ここまで開示して下さるとは。インポーターインタビューは、「クルマを分かっていない」と不評な事が多いのだが、山崎さんは腹が座っていて実に面白い。次号も「へー」という話が満載です。お楽しみに!
ポルシェ911、中古で上手に買うコツは?
こんにちは。AD高橋です。
ポルシェが欲しい。911に乗りたい! 新車狙いの人ならそのままディーラーに向かえばいいですが、中古車購入を検討する場合は、まず中古車情報サイトをチェックするはず。
中古車サイトで911の物件情報を見ていると、古いモデルになればなるほど車両本体価格に「ASK」「応談」と書かれたものが目立つようになります。価格「ASK」の中古車は911以外にも意外と多いもの。今回は「ASK」となる理由を考えてみましょう。
「値段をASKにして、こちらの足もとをみて価格を変えたりするんじゃないの?」と思っている人もいるかと思いますが、今はそういう店はほぼないと言っていいでしょう。
■価格が独り歩きするのを避けたい
今はネットでどんな情報も見ることができ、また自ら簡単に情報を発信できる時代です。人気のあるクルマ、珍しいクルマだと「どこどこのお店でいくらで売られている」という情報があっという間に広がります。それが「安いぞ!」という話ならまだしも「高い!」という話だと、お店にとっては不都合もあるもの。
ご存知の方も多いと思いますが、中古車には定価というものがなく、価格は需要と供給のバランス=人気に左右されます。値段が高いクルマにはそれなりの理由がありますが、中古車情報サイトだとすべてを伝えることができず、「高い」という印象だけが独り歩きしてしまうことがあるのです。だからこそお店は「実車を見てお客さん一人ひとりが自分の価値観で判断してほしい」と話します。
■ライバル店に価格を知られたくない
珍しいクルマが入庫し、それを中古車情報サイトに掲載すると、一般の人ではなく中古車販売店の人が問い合わせしてクルマを買い、その値段以上の価格で自分のお店に並べるというケースがあります。珍しいクルマだからこそ本当に好きな人に乗ってほしい。このようなお店は同業他社からの問い合わせを減らす目的で価格を「ASK」とすることもあるそうです。
日本は諸外国に比べて中古車価格が安く、また古くても状態のいい中古車が多いのも特徴です。そのため日本の中古車オークションや中古車店に外国の中古車バイヤーが仕入れに来るケースも珍しくありません。中古車販売店には希少なクルマを海外に持っていかれるのを避けたいという思いから、価格を「ASK」にして問い合わせしづらくしているところもあるようです。
■支払い総額をお客さんとじっくり話し合って決めたい
これは古いクルマに多いケースです。たとえば40年前のクルマで車両本体価格が200万円のクルマがあります。基本的には200万円+諸費用で買うことはできますが、内外装が傷んでいたり、普通に走る分には支障はないけれども本調子で乗りたいなら整備に150万円必要(古いクルマだとパーツがなくてお店がワンオフで作るケースもあります)という状態だったとします。価格を書いたうえでネットで問い合わせしてきたお客さんにそのことを話すと「なんで200万円のクルマなのに乗り出しが350万円以上になるんだ!」とトラブルになることも……。
お店としてはお客さんに実車を見てもらい、そこで車両本体価格を伝えると同時にお客さんの乗り方も聞いて、それならこの部分は修理しなくても大丈夫。ここはやったほうがいいというのをじっくり話し、お互いが納得した上で契約したいという思いがあります。そこで本当に乗りたいと思っているお客さんにお店に来てもらったうえで価格や状態を話すために、あえて「ASK」とするそうです。
「ASK」「応談」という価格表示は不親切だと感じる人もいるでしょう。実際、この表記方法には昔から賛否両論あります。中古車は実際にクルマを見てその価格に納得できれば迷わず買うべきだし、納得できなれば仮に車両本体価格が50万円のものでも買うべきではありません。これは「ASK」のクルマでも同様。欲しいと思ったポルシェが「ASK」だったら、まずはお店に実車を見に行き、お店の人ととことん話してみてください。
■変更履歴
記事掲載当初、1ページ目に動画へのリンクを掲載しておりましたが、削除させていただきました。本文は修正済みです。 [2017/12/12 13:30]
この記事はシリーズ「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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