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 口を開けて待っていても仕事は回ってこない。ボサッとしていても役職は降ってこない。
 モータースポーツを盛り上げたい。この“思い”と“行動”が伴ったからこそ、山本さんは今の立場になり得たのだ。

F:レポートラインはどうなっているのですか。モータースポーツ部長は技研の社長直結のお立場ですか。

:いや、社長ではありません。今あそこにいる森山(克英)執行役員が私のボスです。

F:山本さんのミッションは何ですか?

:まず「勝つレースをするにはどうすればいいか」というのが1つ。それとブランド。モータースポーツによるブランド構築。ウチはお金がバンバン出ていく部署だけど、何かを売って収益を上げる部署ではないので。森山さんが僕に言うのは、そのバランスをキチンと取れと言うことです。勝つこととブランドの2つは元々僕がずっと言っていることなので、森山さんは「それをちゃんとやってください」と言うだけですね。

F:モータースポーツは効果測定が難しい。レースで何勝したおかげでシビックが何台売れました、とは言えませんものね。

:言えません。だけどホントは僕、そこまでやりたい。

F:F1に出る限り、やはり優勝したいですよね。

:したい。勝ちたい。もちろん優勝したいから、来年はレッドブルと組んでいます。

来シーズンは必ず1度は優勝を!

F:何年後には、いずれかのレースで勝つ、という目論見はあるのですか?

:もちろんありますよ。来シーズン。来シーズンには必ず勝ちたい。

F:早っ! 来年ですか?

:うん。1勝すれば、何がどうレースを作るかということが分かると思うんですよ。あまり詳しくは言えませんが、例えばパワーユニット(PU)。PUをウチが作って研究していますが、その中身は現状では順風満帆で全てが100点というわけではない。例えば今年でいえば21戦中、レギュレーションをまっとうに守ろうとすると、7レースで1基を使うということになる。1台のマシンで年間に使っていいPUは3基までだから。

F:なるほど。1台のマシンに3基のエンジン……いやPU。

:その3基をどうマネジメントしていくか。勝ったときのデータで、そのまま後のレースを続けていって、本当に7レースも持つのかとか、いろんなことが考えられるじゃないですか。1勝すると。

F:なるほど。確かに。