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:僕が栃木の技術広報室の室長になった頃は、ホンダの国内モータースポーツがもうメチャクチャ低迷していたんです。ともかく勝てなかった。全然勝てない。そして何よりも従業員のモータースポーツに対する意識が低かった。

F:へぇ。ホンダなのに。

:その通り。ホンダなのに。「ホンダのDNA」とか宣伝文句では言っているのに、このザマはなんだと。こんなんでいいのかと。いいわけがない。それで松本さん(フェルの「F1なんて誰も見てないスよww」の言葉に激高され、アブダビまで連れて行ってくれた方)と相談して、もう本社は放っといて研究所でやろうぜと。

F:いいですねいいですね。本社は放っといて勝手にやっちまえと。あーゾクゾクする(笑)。

:ホンダの従業員が盛り上がっていないのに、どうしてお客さんが盛り上がれますか。それでいろいろと仕掛け始めました。まずは内向きにやろうと。ウチにはHonda TVっていうTV番組があるんです。国内の事業所とか、工場とか、研究所とかに向けて、昼休みに番組が流れているの。それをもじって、研究所はHGなので、HGTVっていう番組を僕が作って技研でバンバン流したの。

専任でやらなきゃ無理ですよ

F:技研の自主制作番組ということですか。

:そう。Honda TVに対抗してHGTV。研究所だけは昼休みにモータースポーツの結果とか、モータースポーツの面白みが分かる面白い番組を流そうと言って。

F:全部社内で作ったんですか。

:もちろん全部社内。そういうの好きな奴がいるじゃないですか。それでウチで何の仕事してるんだか分からない奴。そいつらを集めて、「お前こういうの得意だろ?」って聞いて。そうしたら、「いや、僕ホントはこういう仕事やりたかったんです」って言うから「ヨシ分かった」と。それで3、4人集めて、ちゃんと4Kのカメラも買ってラボも作って、編集も全部そこでやって技研で流したの。

F:その人たちはエンジニアとしての仕事の合間にやるのですか。

:いや、専任専任。専門でやらなきゃムリですよ。僕が勝手に選んで、「取材してこい、サーキットに行ってビデオ回してこい」って言って。みんな大喜びでやりますよ。その番組がウケて、噂がホンダの本社にも伝わって、本社でも流れるようになって、そうこうするうちに、「お前モータースポーツの部長やれ」ってことになって。もう事故みたいなもんですよ(笑)。

レッドブルにミネラルウォーターがあるとは知らなかった。