アルファロメオから出すと話がおかしくなってしまう

:ワインバーグはアバルトのデザイン責任者です。彼は日本に長期間滞在して、デザインを固めていきました。いまフィアット500にもアバルト仕様があるのですが、それとこの124のアバルトとは生まれ方が基本的に違います。

フィアット500
フィアット500

 500の方は、まずフィアット500という基本になるクルマが先に有って、それをベースにアバルト版を作って行ったのですが、この124は最初からアバルト版とフィアット版を並行して一緒に進めて行ったんですね。デザインもかなり違いますから。だから「フィアットありきのアバルト版」、という訳では無いんですね。アバルトのヘッドが最初からここに入っていたと。チンク(フィアット500)は別なんです。完全にフィアット500というのが先に出来上がっていて、後からアバルトに派生した、と。

こちらは、フィアット500をベースにしたアバルト595
こちらは、フィアット500をベースにしたアバルト595

F:124はもともとアルファと開発して、アルファとして発売する筈だったのが、「いつのまにか」シレッとフィアットになっていた。撤回に関するプレスリリースも無かった。ここまで伺いました。ではなぜそうしたのか。なぜアルファではダメだったのか。そこを教えてください。

:フェルさんの仰る通り、FCAはこの124を、アルファロメオのブランドで出すと正式に発表しました。それは間違いありません。ですがその後に、「アルファロメオブランドは、FRだけの、しかもDセグメントを起点に、D、EセグのセダンとSUV、そしてスポーツカーをラインナップするプレミアムブランドとしてのポジショニングに変わります」という大きな発表をしたんです。

F:すべてをFRにして、高級車路線へ舵を切ると。長い間FFベースのクルマが続いていましたからね。古くからのアルファファンは、この発表に色めき立った。

:はい。非常に好意的に受け取って頂きました。そうすると、このロードスターのアーキテクチャーを……という計画はそのブランド戦略にフィットしなくなる訳です。アルファロメオは完全にオリジナルの、社内のアルファに特化したチームが、「イチから全てを開発する」、と。それがアルファロメオのブランドストラテジーである、と。

F:うーむ……。なるほど。一旦はアルファでやりますと言ったけれども、そのあと発表したブランド戦略にはそぐわない、と。

:そうなんです。アルファロメオというブランドを再構築していく中で、じゃあ、アルファというのをFCAの中でどのように位置付けて行くのかと。やはり「Made in ITALY」でなければいけなくて、ミドルクラス以上のプレミアムカーのブランドであるべきだと。

F:そこにこのロードスターのサイズだと、話がおかしくなっちゃう、と。

:はい。ブランドストラテジーからは、ちょっとズレてしまうよね、と。FCAというグループからすれば

F:あれ?でもアルファには4Cがあるじゃないですか。フルカーボンの小さなスーパーカー。あれは124よりも小さいですよね。あれはどうなんですか?廃版にするんですか?

:いや、ライトウェイト自体は当然アルファロメオのブランドのコアバリューの1つなので、4Cはアリなんです。全てイタリア製ですし、クルマの成り立ちも含めてそこは。

:開発体制も専任のチームで、フェラーリのエンジニアからデザイナーから全部スカウトして来て。そうした話は発表していますよね。アルファ専任のチームを社内で固めたので、ポジショニングも大きく変わってくると。何と言うか、イタリアでも言えない事情が実はそこにあると。

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