124スパイダーとロードスターのチームは、お互いのデザインを知らなかった

「アルファロメオではなくアバルトから出されるって話、実は、発表の直前まで知らされていませんでした」と明かす広報部長の黒岩さん
「アルファロメオではなくアバルトから出されるって話、実は、発表の直前まで知らされていませんでした」と明かす広報部長の黒岩さん

F:もともとアルファロメオとして発売するはずだった124が、「いつのまにか」フィアットになっていた。これが正式にアナウンスされるまで、マツダの広報も、FCAジャパンの広報もご存じなかったのですか?それとも実は結構前から分かっていましたか?

FCAジャパン広報部長 黒岩真治さん(以下、黒):お恥ずかしい話ですが、発表の直前まで知らされていませんでした。マツダさんの広報も同じだと思います。

F:もう新聞読んで「えー?」みたいな。

:プレスリリースは我々が作りましたから、さすがに新聞読んでえー?はありませんが、本当に直前ですね。

F:東芝メディカルの事業売却だって、殆どの社員は新聞読んで知ったという話ですからね。朝新聞を読んだら、「あれ?ウチの会社はキヤノンに買収されたのか」って。

:それはちょっとマズイですよね。

F:いやいや、ぜんぜん悪くないです。インサイダー取引の防止も含めて、知っている人はトップ数人に留めておくのが正しいM&Aの在り方です。そう言えば、東芝は日経ビジネスに怒ってるの?例の不正会計報道。

編集担当Y田:……。ドサクサにまぎれて何聞いてんですか。いいじゃないですか、東芝の話は。クルマの話をして下さい!

F:それじゃ124に話を戻しましょう。このクルマ、NDロードスターの開発が進んで、どれくらい経ってから計画が出来たのですか。

FCAジャパン マーケティング本部 プロダクト マネージャー海谷博樹さん(以下、海):それはかなり前からです。ロードスターの形が固まってからその計画に乗っかったのではなく、マツダさんはマツダさんでロードスターの開発をやり、同じ時期に並行してこちらの開発も同時に進んでいた、ということです。

F:ははあ、並行して。

:そうです。だからデザインもこんなに大きく違う訳です。この124スパイダーは、エクステリアデザインが一番の特徴なのですが、結局、124スパイダーとロードスターのデザインチーム同士は、お互い最後まで相手のデザインを見なかったと聞いています。

F:そんなことが可能なのですか。互いにてんでバラバラのデザインじゃ生産が出来ないでしょう。

:サスペンションの取り付け位置とか、エンジンの置き場所とか、所謂「ハードポイント」と呼ばれる、絶対に変えられない場所って有りますよね。そうした車両としての基本的な情報だけをシェアしておいて、あとはアバルト担当のルーベン・ワインバーグというデザイナーが絵を描いて。マツダさんはもちろんマツダさんで、あちらのデザイナーの方が絵を描いていかれた、と。

F:なるほど。それを同時並行で。

:はい。ただお互いに、どういうデザインで進めていたかは全く知らなかったと。逆に、敢えて見ないようにしていたと言っていました。見てしまうと、どうしても影響を受けてしまう可能性があるので。

:そうなんです。そのファイヤーウォールは半端ではなかったと言っていました。一瞬でも見てしまったら、影響を受けちゃうので。

F:チラッとでも見たら、どうしても印象に残ってしまいますからね。世界的なデザイナーでもそうなんだ。これはイタダキ。面白いエピソードです。

:フェルさんにウケるポイントって、未だによく分かりませんよ(苦笑)。

F:人間臭くて良いじゃないですか、こういう話は(笑)。

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