みなさまごきげんよう。
フェルディナント・ヤマグチでございます。
今週も軽くヨタ話から参りましょう。
Tarzan連載200回突破を記念したトークイベントを開いていただきました。
ご手配頂いたTarzan編集部のみなさま、ありがとうごいました。
会場のハワイアンレストラン、
アロハテーブル代官山店様には、かように素晴らしいケーキまで作って頂きました。スタッフのみなさま。遅くまでありがとうございました!
空幕の中島さんと。Tarzanの航空自衛隊特集でお骨折りいただいた中島さん。当日はなんと空幕の広報室長と一緒にお越しいただきました。恐悦至極であります。次回はなにやりましょうか。引退直前の747型政府専用機の見学なんか良いなぁ。
しかしですね、めでたい200回突破記念で、またしてもやらかしてしまいました。あろうことかフェルマスクを家に忘れてきてしまったのです。まさかこの不細工な素顔を晒すわけにもいきませんで、お店から米袋を拝借して、急拵えのマスクを造っての登場と相成りました。
Tarzan編集部の村田くん。当日の司会進行からポスターの作成。来場者の出欠管理まで全てをバシッとまとめて下さり感謝しております。よほどパーティー慣れしていなければこうはいきません。私は貴君がヤリサー出身なのではないかと見ています。ほほう。ご出身は早稲田大学ですか。あそこは有名なスーパーフリーなる大学公認のサークルがありましたね。
大田原編集長とのトークセッション。編集長、ドン引きであります。後ろで苦笑するのが村田くん。編集よりパーティーのほうが得意?
Tarzanは私が執筆する全てのメディアの中で、最もフィルターの目が粗い雑誌です。何を書いても殆どそのまま印刷され店頭に並んでしまいます。当日は、それでも書けなかった特ネタを中心にお話させて頂きました。ご来場頂いた皆様に於かれましては、当日のトーク内容を、どうか墓場まで持って行って頂きたく存じます。
ところは名古屋に移りまして、毎年恒例の得仙あんこうツアー。当店自慢の極上あんこう鍋を堪能して参りました。
アンコウを鍋に入れる前に、牡蠣と伊勢海老で出汁に旨味をプラスするのが得仙流。堪能いたしました。
当日は夜の名古屋市長成瀬氏、夜の愛知県知事鈴木氏とご一緒させて頂きました。当然鍋だけで済むわけがなく、二次会、三次会へとなだれ込みました。三時過ぎまで飲めや歌えの大騒ぎ。いやー、名古屋は熱いっす。
みなさん本当に元気です。ぼくもうヘロヘロです……。
東京に戻りまして、学生時代の後輩と久し振りに一杯やりました。
右側の尾崎君、何と冗談で応募した東京マラソンに当選したそうでして、この夜高らかに「4時間半切り」を宣言いたしました。切れたら私が、切れなければ彼がこの3人に焼肉をおごるという取り決めが成されました。
どちらにしてもタダで焼肉が食える左側の山本くんですが、彼は「尾崎は絶対に完走できない」に賭けています。はてさてどうなることやら。結果は来年2月26日に明らかになります。
やるぞ!と意気盛んな尾崎くんと、ムリムリとせせら笑う山本くん。ちなみに尾崎くんはEMS/ODM専門情報サイトである
EMSOneの取締役です。
さてさて、それでは本編へと参りましょう。
先週に続きまして、ABARTH124スパイダーのインポーターインタビューです。今回はABARTHのみならず、FCAのブランド展開についてもお話を伺います。
124スパイダーとロードスターのチームは、お互いのデザインを知らなかった
「アルファロメオではなくアバルトから出されるって話、実は、発表の直前まで知らされていませんでした」と明かす広報部長の黒岩さん
F:もともとアルファロメオとして発売するはずだった124が、「いつのまにか」フィアットになっていた。これが正式にアナウンスされるまで、マツダの広報も、FCAジャパンの広報もご存じなかったのですか?それとも実は結構前から分かっていましたか?
FCAジャパン広報部長 黒岩真治さん(以下、黒):お恥ずかしい話ですが、発表の直前まで知らされていませんでした。マツダさんの広報も同じだと思います。
F:もう新聞読んで「えー?」みたいな。
黒:プレスリリースは我々が作りましたから、さすがに新聞読んでえー?はありませんが、本当に直前ですね。
F:東芝メディカルの事業売却だって、殆どの社員は新聞読んで知ったという話ですからね。朝新聞を読んだら、「あれ?ウチの会社はキヤノンに買収されたのか」って。
黒:それはちょっとマズイですよね。
F:いやいや、ぜんぜん悪くないです。インサイダー取引の防止も含めて、知っている人はトップ数人に留めておくのが正しいM&Aの在り方です。そう言えば、東芝は日経ビジネスに怒ってるの?例の不正会計報道。
編集担当Y田:……。ドサクサにまぎれて何聞いてんですか。いいじゃないですか、東芝の話は。クルマの話をして下さい!
F:それじゃ124に話を戻しましょう。このクルマ、NDロードスターの開発が進んで、どれくらい経ってから計画が出来たのですか。
FCAジャパン マーケティング本部 プロダクト マネージャー海谷博樹さん(以下、海):それはかなり前からです。ロードスターの形が固まってからその計画に乗っかったのではなく、マツダさんはマツダさんでロードスターの開発をやり、同じ時期に並行してこちらの開発も同時に進んでいた、ということです。
F:ははあ、並行して。
海:そうです。だからデザインもこんなに大きく違う訳です。この124スパイダーは、エクステリアデザインが一番の特徴なのですが、結局、124スパイダーとロードスターのデザインチーム同士は、お互い最後まで相手のデザインを見なかったと聞いています。
F:そんなことが可能なのですか。互いにてんでバラバラのデザインじゃ生産が出来ないでしょう。
海:サスペンションの取り付け位置とか、エンジンの置き場所とか、所謂「ハードポイント」と呼ばれる、絶対に変えられない場所って有りますよね。そうした車両としての基本的な情報だけをシェアしておいて、あとはアバルト担当のルーベン・ワインバーグというデザイナーが絵を描いて。マツダさんはもちろんマツダさんで、あちらのデザイナーの方が絵を描いていかれた、と。
F:なるほど。それを同時並行で。
海:はい。ただお互いに、どういうデザインで進めていたかは全く知らなかったと。逆に、敢えて見ないようにしていたと言っていました。見てしまうと、どうしても影響を受けてしまう可能性があるので。
黒:そうなんです。そのファイヤーウォールは半端ではなかったと言っていました。一瞬でも見てしまったら、影響を受けちゃうので。
F:チラッとでも見たら、どうしても印象に残ってしまいますからね。世界的なデザイナーでもそうなんだ。これはイタダキ。面白いエピソードです。
黒:フェルさんにウケるポイントって、未だによく分かりませんよ(苦笑)。
F:人間臭くて良いじゃないですか、こういう話は(笑)。
アルファロメオから出すと話がおかしくなってしまう
黒:ワインバーグはアバルトのデザイン責任者です。彼は日本に長期間滞在して、デザインを固めていきました。いまフィアット500にもアバルト仕様があるのですが、それとこの124のアバルトとは生まれ方が基本的に違います。
500の方は、まずフィアット500という基本になるクルマが先に有って、それをベースにアバルト版を作って行ったのですが、この124は最初からアバルト版とフィアット版を並行して一緒に進めて行ったんですね。デザインもかなり違いますから。だから「フィアットありきのアバルト版」、という訳では無いんですね。アバルトのヘッドが最初からここに入っていたと。チンク(フィアット500)は別なんです。完全にフィアット500というのが先に出来上がっていて、後からアバルトに派生した、と。
こちらは、フィアット500をベースにしたアバルト595
F:124はもともとアルファと開発して、アルファとして発売する筈だったのが、「いつのまにか」シレッとフィアットになっていた。撤回に関するプレスリリースも無かった。ここまで伺いました。ではなぜそうしたのか。なぜアルファではダメだったのか。そこを教えてください。
黒:フェルさんの仰る通り、FCAはこの124を、アルファロメオのブランドで出すと正式に発表しました。それは間違いありません。ですがその後に、「アルファロメオブランドは、FRだけの、しかもDセグメントを起点に、D、EセグのセダンとSUV、そしてスポーツカーをラインナップするプレミアムブランドとしてのポジショニングに変わります」という大きな発表をしたんです。
F:すべてをFRにして、高級車路線へ舵を切ると。長い間FFベースのクルマが続いていましたからね。古くからのアルファファンは、この発表に色めき立った。
黒:はい。非常に好意的に受け取って頂きました。そうすると、このロードスターのアーキテクチャーを……という計画はそのブランド戦略にフィットしなくなる訳です。アルファロメオは完全にオリジナルの、社内のアルファに特化したチームが、「イチから全てを開発する」、と。それがアルファロメオのブランドストラテジーである、と。
F:うーむ……。なるほど。一旦はアルファでやりますと言ったけれども、そのあと発表したブランド戦略にはそぐわない、と。
海:そうなんです。アルファロメオというブランドを再構築していく中で、じゃあ、アルファというのをFCAの中でどのように位置付けて行くのかと。やはり「Made in ITALY」でなければいけなくて、ミドルクラス以上のプレミアムカーのブランドであるべきだと。
F:そこにこのロードスターのサイズだと、話がおかしくなっちゃう、と。
海:はい。ブランドストラテジーからは、ちょっとズレてしまうよね、と。FCAというグループからすれば
F:あれ?でもアルファには4Cがあるじゃないですか。フルカーボンの小さなスーパーカー。あれは124よりも小さいですよね。あれはどうなんですか?廃版にするんですか?
海:いや、ライトウェイト自体は当然アルファロメオのブランドのコアバリューの1つなので、4Cはアリなんです。全てイタリア製ですし、クルマの成り立ちも含めてそこは。
黒:開発体制も専任のチームで、フェラーリのエンジニアからデザイナーから全部スカウトして来て。そうした話は発表していますよね。アルファ専任のチームを社内で固めたので、ポジショニングも大きく変わってくると。何と言うか、イタリアでも言えない事情が実はそこにあると。
アルファロメオのライバルはBMWやメルセデスになる
「アルファロメオはプレミアムブランドへ脱皮します」(マーケティング本部 プロダクト マネージャーの海谷さん)
F:例えば記者会見などで、「どうしてアルファでなくフィアット・アバルトにしたんですか?」という質問が出たら、公式見解としては何と答えるのですか。FCA本体からの公式見解は何ですか?
黒:そこのところは「ディスカッションしないように」、という一言です。
F:何ですか。東芝みたいだなそれじゃ(笑)
黒:同じ質問をFCAの本体にぶつけたら、きっとこう答えると思います。「2014年の5月に発表した、アルファロメオの新しいブランドおよび商品ストラテジーをご参照ください」と。
FCA的には、最初にアルファでやると発表した件と、その後で発表したアルファのブランドストラテジーをつなぐ線という物が正式にはないんです。もちろん僕ら、何度も何度も本社に頼みました。頼むから理由をキチンと発表してくれと。日本はマツダさんのホームカントリーですから、ほかの国々とはプレッシャーが違いますから。
F:確かに。日本は特別ですからね。ロードスター教の信者も多いし(笑)
黒:でもいまになれば本社の気持ちも分かります。アルファロメオはアウディ、メルセデス……あ、これはもう話して良いんですよね?
海:はい。大丈夫です。
黒:アルファロメオは、アウディ、メルセデス、BMWと対抗するブランドにしますと。
F:おー!
黒:アルファはそういうブランドに転換していくんです。
F:すると、このロードスターのアーキテクチャーだと力不足であると。
黒:力不足ということでは有りません。そういうブランド戦略に上書きされた、ということです。
F:上書きですか。なるほど、上書きね。
海:そう。上書きです。
F:来年の連載から僕が素顔出して、名前も漢字にして、「山口太郎の走りながら考える」に変えるような感じでしょうか。「あれ?あんたフェルさんでしょ?」と言われても、いえいえ私は山口です。今年からこのように上書きされました、と。なぜフェルを止めたのかと言われたら、それは昔のヤマグチなる人物に聞いて下さい、と(笑)
黒:うーん。例えがあまりにも乱暴です。少しニュアンスが違うと思います(苦笑)
F:アルファロメオがBMWやメルセデスと対抗し得る、プレミアムブランドに脱皮しようとしている事は理解できました。それではFCA全体はどのようになるのですか。グループとしてのFCAは。
黒:6つの箱が有ります。アルファだったり、マセラティだったり、ジープだったり。ダッジなんかも有りますね。この前私も本社で初めて資料を見たのですが、地球儀が書いてあるブランドが3つだけ有るんですね。マセラティとアルファロメオとジープです。これらは世界中で売るグローバルブランドだよ、という意味です。だから右ハンドル車も作るし、AT車も作ると。逆に言うと、他のブランドはそれぞれの国のインポーターの判断に任せると。売っても売らなくても良い。
F:はー。するとフィアットは……
黒:右ハンドルでATを作るには、フィアットブランドは入れる輸入国の負担で作ってください、と。
F:つまりは輸入国がコストを負担して、責任持って売ってね、と。
黒:はい。その通りです。日本には本来フィアットを入れても入れなくても良いんです。FCA的には。必ず輸入しなければいけない、マストのクルマでは無いんですね。フィアットの500Lが日本にないのは、実はそういう事情が有るのです。
F:はー。なるほど。面白い、というか厳しい。
「生産では国産扱い、販売やCOTYでは輸入車扱いなんです」
F:124スパイダーはフィアットで組まれたエンジンをイタリアから運んできているんですよね。で、クルマ自体のアッセンブルは日本で行う。日本で売る124はマツダの工場から直で来るんですか?まさか一旦イタリアに返すとか。
海:さすがにそれは無いです。マツダさんの工場からディーラーさんまで直送です。ジープもほかのフィアットも、輸入車はみんなそうなのですが、1回輸入をして、陸揚げ拠点があって、VPCといわれる新車整備拠点があって、全ての輸入車はみんなそこを1回経由してからディーラーさんに行くんですよね。
ですがこの124はそのプロセスが有りません。マツダさんの工場でいわゆる完成検査ラインも含めて取って、完成形にされた状態でディーラーさんにそのまま運ばれて登録されるんです。
F:これは輸入車にカウントされるのかしら。JAIA(日本自動車輸入組合)の扱いになるんですか?
黒:入りません。日本自動車工業会の扱いになります。JAIAではなくJAMAですね。作る方の台数カウントはJAMAになります。
ですが販売台数となるとまた話が違ってくる。販売の方は日本自動車販売協会連合会(自販連)です。こちらはブランド毎なので全部合算されてカウントされます。例えば日産さんのマーチなんかは、輸入車だからJAIA扱いなんですが、自販連でいくと日産ブランドという…。
F:マーチは日本で売っているのもタイ製だから、自工会、JAMAの台数には入らない。なるほど。これは興味深い。
黒:自工会は日本で生産したという切り口なので、124スパイダーはこちらの数字に入ります。ですが自販連はブランド別のデータだから外国車に入ります。それでもJAIAには入らない。COTYはブランドという発想なので、カー・オブ・ザ・イヤーはインポート扱いになる。妙な話ですが、輸入してないのにインポートカー・オブ・ザ・イヤーになる可能性もある(笑)
海:面白いですよ。私はこの業界に入って、もうすぐ20年になりますが、こんな面白いクルマの担当はしたことがないです。そして、こんな面白い作り方をするクルマは、もう当分出てこないんじゃないかと思います。
黒:そういえば、内外価格差が逆転しているというのも初めてです。このクルマは、日本で買うのが世界で一番安いんです。
F:確かに産地直送の輸入車ですからね。日本で買うのが世界一お得。これはタイトルになるな(笑)。いや、今日はありがとうございました。面白い話をたくさん伺いました。
FCAのブランディングとアバルト124スパイダーの“輸入”に関わる裏話、お楽しみ頂けましたでしょうか。イタリアンデザインにジャパンメイドという、思えば世界最強の組み合わせ。窓も落ちなきゃエンコもしない。おまけに燃費も良いとくれば、これは十分検討に値するでしょう。とりあえず試乗車に乗ってみて下さい。幌を開ければ違う世界が見えてきます。
さて、来週は久々に日産車のお出ましです。
「やっちゃえ日産」と永ちゃんは仰いますが、はてさて、最近の日産はどうなっているのか。お楽しみに!
"兄弟"ロードスターに魅力的な二の矢、三の矢
こんにちは、ADフジノです
本編にも少し話が出てきましたが、2016-2017日本カー・オブ・ザ・イヤーの季節がやってきました。現時点では、全35台のノミネート車の中から、最終選考会に進む上位10台の「10ベストカー」が選出されています。実はその中にしっかりと、アバルト124スパイダーもノミネートされています。
その他の顔ぶれは、スバルインプレッサスポーツ/G4、トヨタプリウス、ホンダフリード/フリード+、日産セレナ、BMW M2 クーペ、アウディA4シリーズ、ジャガーF-PACE、メルセデスベンツEクラス、ボルボXC90、と今年は輸入車勢が目立ちます。
最終選考会は今週9日の予定です。昨年のイヤーカーがマツダロードスターでしたから、今年のインポート・カー・オブ・ザイヤーをアバルト124スパイダーが取れば、ある意味2年連続受賞なのですが、果たしてどうなりますか。
一方で、ベースとなったロードスターにも魅力的な二の矢、三の矢が放たれています。
まず、来年から日本でも「グローバル MX-5カップ」が始まります。これは2006年にアメリカでNC型を使ってはじまった本格的なワンメイクレースで、ドライバー育成プログラムの1つとして、将来的にはツーリングカー部門へステップアップを目指す登竜門的なカテゴリーに位置付けられています。
とてもユニークなのが、各国の上位ドライバーが一堂に集い、世界一のMX-5(ロードスター)使い決定戦が行われるということです。日本では全5戦が予定されており、チャンピオンになれば、世界一決定戦が行われるアメリカ・ラグナセカ行きの切符を手にすることができるのです。
ラッキーなことに、そのMX-5カップカーを試乗する機会がありました。マシンはアメリカ仕様の左ハンドルの2リッターモデルをベースに仕立てられた、ナンバーのつかない本物のレースカーです。車内に張り巡らされたロールケージをかいくぐるようにしてなんとかシートにもぐりこんでから、脱着式のステアリングを装着します。ダッシュボード上にあるトグルスイッチでイグニションをオンにして、スターターボタンを押すと、野太い音でエンジンが目覚めます。エンジンはノーマルだそうですが、吸排気系がチューニングされており、レスポンスはビンビンです。
そして何より注目なのが、専用のスリックタイヤを履くこと。プロの先導車付きの約10分ほどの試乗で、とてもスリックタイヤの限界域を知るよしもなかったのですが、それでもまあ乗りやすくて、まあ楽しい。思わず笑いが出ます。ナンバー付きの「パーティレース」用レース車両NR-Aも合わせて試乗できたのですが、あちらはあくまで市販ロードスターそのものであるのに対し、こちらは足回りもブレーキもそして安全装備の面でも正真正銘のレースカーなのだということを強く感じます。
車両価格は788万4000円(税込み)。年間5戦のランニングコストは約240万円、これにエントリーフィーや輸送代などが必要になります。ただ、自分でいちからクルマを作ることを考えれば決して高くないと思います。カップカーといえば、ポルシェ911が一番有名ですが、あちらはこの何倍もの予算が必要ですし、1人が難しければ、友人とシェアしてはじめてみるのもいいかもしれません。
車両はアメリカのLongRoadRacing社によって、約6週間をかけて製作される。2リッターエンジンの出力は157ps/201Nmとノーマルと同等だが、コントロールユニットや吸排気系、オイルクーラー、ラジエター、マウントなども強化されている。また専用の車高調整式サスペンションやブレーキなどをはじめ、ジャングルジムのようなロールケージ、セーフティウインドウネット、自動消火器などレーシングカーならではの安全装備を備える
乗員の乗降性を高めるためにステアリングは脱着式に。メーターもレース専用のデジタルメーターとなる。6速ミッションは、基本はオリジナルのまま3速、4速のみ強化ギアが用いられ、オイルクーラーが備わる。車両の販売に関する問い合わせは
キャロッセまで
そして、三の矢といえば、「ロードスターRF」が正式に発表されました。RFはリトラクタブル・ファストバックの意味で、ベースの幌のかわりに電動開閉式ハードトップを備えます。またNC型のように屋根全体が格納されるのではなく、Cピラーが残るフェラーリのスーパーアメリカを彷彿とさせる流麗なデザインのボディに、アメリカ仕様と同じ2リッターエンジンを搭載する、よりラグジュアリィな位置づけのモデルとなりました。
発売は12月22日なのですが、事前に少し試乗する機会がありました。これがまたいい。エンジンと電動ルーフによって重量が約80kg増えたことによるメリットもあるようで、操舵感はよりしっとりと落ち着いたものになっています。2リッターエンジンも劇的な速さや派手なエンジン音はありませんが、気持ちよく吹けあがります。ルーフを閉じればクーペとかわらぬ静粛性で、剛性感も少しあがったように感じます。インテリアにブラウンのナッパレザーを用いたグレードが用意されるなど、より上質な雰囲気です。
ルーフはフロント、ミドル、リアの3つのパネルとバックウインドウによって構成される。格納は約13秒と激速で、10km/h未満であれば走行中の操作も可能。タルガトップとは異なり、オープン時はバックウインドウもリアに格納されるため、よりオープンカーに近い感覚が得られる。ソフトトップモデルと同等のトランク容量を確保しながら、リアデッキはまさにクーペさながらの低さを維持しており、またぎりぎりまで切り詰められたボディとルーフの隙間にエンジニアのこだわりが見てとれる。車両価格は324万円から
個人的にもいつかはNDロードスターを買いたいと思っているのですが、両者ともにど真ん中に的中。ますます悩ましい2モデルが登場したというわけです。
この記事はシリーズ「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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